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ほんとうのこと

10月6日
読了時間: 4分

ほんとうのことを書く練習

土門蘭 著

朝5時からの音読会で読了。




読み終えて、頭に浮かんできたのは「A NEW EARTH」だった。



先週一週間は、「14歳の挑戦」を受け入れ、地元の中学生といろんなところへ取材にまわった。

この時期になると、毎年、中学生の将来の夢や希望を聞き、その体験やお話を聞くことができるところへ一緒に出かけていく。

そして、中学生に本気で語る。

これは「14歳の挑戦」であると同時に、働く大人にとっての挑戦でもある。



数年前、「14歳の挑戦」に向けた事前学習のような趣旨で、中学校に伺って講義をしたことがある。

そのときに話したのは、

「今、ぼくらが生きている時代は、有史以来、特別な時代だ」

ということだった。


もう少し具体的にいうと、

「自分のやりたい仕事を、自由に選択することができる時代だ」

ということ。

今では当たり前のように聞こえるけれど、実はそうではない。


ほんの50年前の日本はどうだっただろう。

性別によって、就ける職業と就けない職業があっただろう。

さらに、長男か次男か、あるいは家の事情によって、選べる仕事や生き方が決められていたこともあったはずだ。


それを考えると、ぼくらが「自分のやりたい仕事を自由に選択できる」ようになったのは、本当に最近のことなのだと思う。


それは、長い長い歴史の中で、少しずつ、少しずつ勝ち取ってきた自由なのだ。

だからこそ、ひとりひとりが本当にやりたいことを選んでほしい。

先生や親、同級生の目を意識することなく、自分で選んでほしい。

そして、その選択が自分自身のためになることはもちろん、それ以上に、その選択が次の世代の未来をつくっていく。

そんな話をした。



『ほんとうのことを書く練習』を読み終えて、なぜか、このときの感覚が蘇ってきた。

もちろん、同じということではない。

ただ、どこかでつながっているような気がした。


もうひとつ、読み終えて頭に浮かんだ問いがある。

いつもよく聴いているポッドキャストで語られていた話なのだけれど、


「自分が心からやりたいと望んでいることと、自分が生まれながらに持っている才能が、別のものだとしたら?」


という問いだ。

たとえば、

自分は絵を描くことが大好きだ。

でも、どれだけ頑張っても、人並み以下の絵しか描けない。

ところが、作曲には天才的な才能がある。

そんなことが、もしあるとしたら。


もちろん、「才能とは何か」という定義にもよるだろう。

好きと才能を融合する方法もあるだろう。

ここでいう「好き」とは、単なる感情的な「好き」という意味ではない。

もっと内的な感覚。

自分の心の奥から、どうしても湧き上がってくるもの。

「なぜかわからないけれど、これをやりたい」

という感覚に近い。


一方で、才能があることで社会から評価され、それがお金にもつながるとなれば、その才能を放っておくことは難しい。

もちろん、才能を花開かせることで、本人も幸せになれるだろう。

でも、それは本当に「ほんとうのこと」なのだろうか。



自分のやりたい仕事を自由に選択できる時代。

では、「やりたい仕事」とは何なのだろう。


才能を発揮できる仕事なのか。

お金を稼げる仕事なのか。

なりたい自分になれる仕事なのか。

何かの目的を達成するための仕事なのか。


選択肢は、無限に広がっている。

才能を活かす仕事を選ぶのもいい。

社会の中で求められている仕事を選ぶのもいい。

心の声を大切にする選択もいい。

あるいは、選ばないという選択もある。

どれも正解なのだと思う。



では、人は自由になれたのだろうか。


歴史的な背景。

資本主義のアップデート。

金融や保険のシステムのアップデート。

そして、新しい倫理観。


環境や制度が、どれほど自由になったとしても、人と人とのあいだにある関係性や、人と人との対話そのものが、大きく変わっていく必要があるのではないか。


『ほんとうのことを書く練習』の「おわりに」で、著者は「死にたい」という思いを書き続けることで、その思いを超えていった。

「なぜ死にたいと思うのか」という問いは、やがて「なぜ、それでも生きるのか」という問いへ変わっていく。

そして、その根底にあったのが、

「なぜ生きるのか」

という問いだった。


書くことは、誰かに読んでもらうことでもある。

読んでもらうことで、対話が生まれる。

対話によって、自分を知り、世界を知り、他者とつながっていく。



自由に選べる世界に生まれた。

だから自由なのだろうか。


誰かと出会い、誰かと語り、誰かの言葉を聴きながら、自分の内側にある「ほんとうのこと」に触れていく。


触れるのは、ひょっとすると、冷たく、重たく、本当は絶対に見られたくないことかもしれない。


それでも生きる。


次の本「A NEW EARTH」につながっていく。



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