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自ら自ずから

  • 執筆者の写真: yamashina shigeru
    yamashina shigeru
  • 3 日前
  • 読了時間: 4分

A NEW EARTH

二巡目 第22週 振り返り


内なる目的と外部的な目的


今週は、富山で息子と過ごす1週間でした。

5月6日の弓道昇段審査のため、富山で毎日練習へ。


二度目の弐段審査。


前回、落ちた理由は理解している。

弓道は一人で的と向き合うが、審査では5人チームで、礼の仕方、歩き方、座り方、体の向きの変え方、弓を引くときの立ち方といった「体配」を息を合わせて行う。

この体配が審査では大切になる。


正射必中

正しく射れば、必ず的中する。

的に自ら(みずから)中てにいくのではなく、正しい姿勢であれば、自ずから(おのずから)中る



前回の審査では、大学生4人と一緒のチームになった。

ぼくは5人目で、前の4人の動きに合わせて体配を進めなくてはならない。

審査前まで、ひとりで集中はしていたつもりだが、同じチームの大学生と言葉を交わすことは最後までなかった。


審査が始まると、大学生は社会人と違い、ひとつひとつの所作が早い。

合わすだけで精一杯。

そんな中、肝心の動作の手順をひとつ飛ばしてしまった。

弦と矢に異常がないか目視し「的」を確認する、という一連の動作をし忘れてしまった。

そのあとは、心が乱れた状態で終わった。


結局、始まりから終わりまで、ひとりだった。



今回は、前回の反省も踏まえ、同じチームの仲間と対話をすることをひとつの目標とした。

ただ、誰が同じチームなのかは、審査直前に控室で椅子に座るときにわかる。

名前は公表されているのだが、いろんな道場から審査を受けてきており、違う道場の方の名前と顔は分からないからだ。


本番直前、みんなに声をかけ目を合わすことができた。

「よろしくお願いします」

そのことで、ひと呼吸を生み出すことができた。

まだまだ、弱々しいながらも空間ができた。


本番が始まり、目線は常に4メートル先の床を見ているのだが、気配で5人が揃っているかを意識しながら進めることができた。


審査では矢を二本射る。

残念ながら、二本とも中てることはできなかった。

ただ、前回に比べると、緊張はしたものの、普段のような動きができたように思う。


審査が終わり、控室に戻ると、同じ道場の仲間の顔がみえた。

参段、四段を受ける先輩たちだ。


「どうだった」

審査を気にしていただき、いっぱい声をかけてもらえた。

「きっと大丈夫」

だと。

不安なぼくの心を察知して声をかけていただき、その優しい気持ちに触れて、会場を後にした。



この帰りの道中に大きな気づきが押し寄せてきた。


なぜ先輩たちに「頑張ってください」と、ひと言、声をかけられなかったのだろう。

先輩たちは、今から審査を受けるのにも関わらず、自分のことばかりになっていた。

先輩たちに、審査に向けてエールを送ることができなかった。

これは、何度も妻から指摘されること。

慮る


これまでの妻から指摘を受けた気づきとは全く違う気づき。

初めて「自ら」と「自ずから」が融合したような気づきだった。

どこからかともなく押し寄せてくる感覚。



車を運転しながら、赤面した。


みんなに支えられていることを頭では知りつつ、一人で生きることができると思っている傲慢な自分。

慮ることは、社会で生きる中で義務に近いようなもの、または、それを意思表示することが弱さに近いことのように思っていた自分。

自分は応援される側であり、応援する側ではないと対立を生み出している自分。


すごく恥ずかしい気持ちで押しつぶされそうになった。



それ以外にも2つの気づきがある。


ひとつは「対話とつながり」だ。


今回の審査は、「対話とつながり」を目標にし、チームメンバーと目を合わすこと、声をかけること、つながることを意識した。


振り返って感じたことは、「対話とつながり」は、日常の積み重ねこそ重要なんだということ。

日頃の練習で、一緒に道場を利用している仲間と対話ができているか、つながりを感じることができているか。

実は、それが大事なんだということ。

本番だけ意識するだけでは、ひと呼吸分の空間しか生み出せない。

「つながっている」という感覚には程遠いということ。



もうひとつは「現場」だ。


自らであり、自ずから生まれる気づきは、「場」が生み出すということ。

指導者的な立場の方からの指示では、深い気づきには至らない。

「場」があり、仲間がいるからこそ、その関係性の中で気づきが生まれる。


言葉で説明することはすごく難しいのだが、毎朝の音読会での学びがつながった日となった。

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