あなたの仕事はなんですか?
ぼくが父親の経営する印刷業を手伝うようになり、まず初めにぶつかったのがこの問いです。
印刷業とは何なのか?
さらに細かく言えば、
大手の印刷会社とはちがい、軽印刷といわれる仕事とは何か?
軽印刷とは、通常の印刷業と区別するために使われる言葉です。中古の印刷機を利用し、簡易的な印刷物の製作を家族で行ない、お客様の御用を聞きながら何でもするっていうような仕事です。
パソコン、プリンター、インターネットが普及する中、軽印刷は社会に必要なのか?
その問いに向き合うことが、今のど真ん中名刺につながっています。
町の散髪屋さんは、散髪することが仕事ではなく、町内の子供たちの成長をみまもりつつ、悩みを聞いてあげたり、相談にのることが、本来の仕事なのかもしれない。
町の酒屋さんは、お酒を売ることが仕事ではなく、各家庭の事情をちゃんと理解し、突然の来客や大切な日に、裏方で各家庭に寄り添い、おもてなしをすることが仕事なのかもしれない。そのためにも、町内のイベントに積極的に参加すること、町内の方と世間話に花を咲かすのも大切な仕事かもしれない。
ガス屋さんは、各家庭の火を使う場所はどこなのか、家族は何人で住んでいるのかをしっかり把握し、ひとりぐらしのお年寄りの家では、安全を見守る役目をし、もし火事が起きた時に、どこに火元があり、どんな家族が住んでいるか、その情報をすぐに活かせるように準備している。それが一番の仕事なのかもしれない。
では、あなたの仕事はなんですか?
今回のど真ん中名刺は、粘土を利用してお花をつくるクレイフラワーの先生の名刺でした。
クレイフラワーの仕事とは何か?
優しい気持ちと優しい時間を提供すること。
日常ではなかなか時間がとれない、ひとつのことに集中する時間。手の感触と想像力、色を楽しみながら、他のことは忘れ熱中する時間を提供する。
そして、もしそれが自分のものではなく、誰かへのプレゼントを作るのであれば、それは優しい気持ちになれる時間。
そんな気持ちと時間を提供すること。
それが仕事。
ただ、ど真ん中を生きるとは
職能を活かしながら、わくわくして熱中する時間があり、誰かの幸せを願う気持ちがある生き方。