社会的つながり
- yamashina shigeru
- 2 日前
- 読了時間: 4分
富山市の呉羽山にある畑にミツバチの巣箱を置かせてもらっている。
お盆前に大雨が降り、ようやく天気が安定してきたが、暑さはまだまだ続いている。
ミツバチたちにとっても結構なストレス環境なんだと思う。
そろそろスズメバチの襲来も始まる。
内検をすると、結構苛立っている様子が分かり、敵意を持って向かってくる。
そんな中、はちみつがいっぱい詰まった蜜枠を2つ、会社がある富山と石川の県境にある小矢部市まで移動させた。
いつもなら、蜜枠を移動させるとき、ミツバチが一緒にくっついてこないように気を付けて払うのだが、ミツバチのご機嫌が悪いこともあり、なかなか蜜枠から離れようとせず、5匹ほど会社にまで連れてきてしまった。
車で1時間程度の移動。
車内は、屋外よりも快適なはずだ。
振動があるといっても、きれいな道で移動するので、ストレスにならないと思う。
しかし、不思議なもので、会社に到着し、蜜枠をみると、一緒についてきたミツバチたちは、もれなく全員力尽きそうな状態になっている。
飛ぶこともままならず、ただ、地面を這うような感じで移動するのがやっと、という状態。
すでに巣箱の下でひっくり返っている子もいる。
これは驚くことではなく、たまにこうやってついてきてしまったミツバチは、大体こんな感じになってしまう。
原因を調べてみると、4つの可能性が書かれてあった。
可能性① 二酸化炭素や酸素不足
巣箱から外され、密閉された環境(車内や運搬用の容器)に置かれると、呼吸で二酸化炭素が急速にたまり、酸素が不足します。
ミツバチは二酸化炭素に非常に敏感で、短時間でも高濃度になると気絶や死に至ることがあります。
可能性② 温度・湿度の管理不足
人間には「快適」と思える環境でも、蜂にとっては不適切な湿度や気流がある場合があります。
巣の中は常に 34〜35℃・高湿度で保たれており、これが崩れるとミツバチの体調は急激に崩れます。
可能性③ 輸送中の振動やストレス
車の振動や揺れは、蜂にとって「異常事態」と感じるほどのストレス源です。
可能性④ 仲間との社会的分断(フェロモン・群れの喪失)
ミツバチは、女王フェロモンや巣内の匂いによって落ち着いています。
巣から切り離されると「帰る場所のない迷子」の状態になり、強いストレスを受けます。
数匹だけの状態だと「群れとしての機能」が失われ、精神的・生理的に弱ってしまうとも考えられます。
①②は違うはずで。
可能性があるのは③と④
特に④の可能性が一番強いように思う。
1. フェロモン喪失
ミツバチは女王蜂や働き蜂が出すフェロモン(匂いの情報物質)で安心します。
群れに属している間は常に「匂いのネットワーク」に包まれている。
これが切れると、方向感覚や落ち着きが失われ、ストレス反応が強く出る。
2. 「社会的免疫」の喪失
巣の中では、仲間同士で毛繕いや食物の分け合い(トロファラキシス)をしています。
これによって病原菌の拡散や代謝の負担を分散させる「社会的免疫」が成立している。
ところが、数匹だけで孤立するとこれが機能せず、すぐに体調が崩れやすい。
3. 方向感覚の喪失と疲弊
ミツバチは「太陽の位置」や「地磁気」「仲間のダンス」などを組み合わせて帰巣します。
巣の外で分断されると、自分がどこにいるか分からなくなり、帰る目印もない。
その混乱がストレスとなり、体力を消耗しやすい。
ミツバチは、群れとしてひとつの生命体として生きている。
そこから数時間でも離れてしまうと、正常な生命活動が困難になるようだ。
ここまでミツバチのように極端じゃないかもしれないが、人間も同じようなことが当てはまるのかもしれない。
WHOでは孤独・孤立対策の委員会を立ち上げ、2025年6月30日に報告書『孤独から社会的なつながりへ』(From Loneliness to Social Connections)を発表。
報告書によると、世界全体で人口の15.8%が孤独を抱えており、若年層ほど高い割合。
17歳以下と60歳以上は女性、18~59歳は男性の方が孤独を抱えている割合が高い。
孤独・孤立は、健康面では心疾患や糖尿病の増加、認知症の発症、うつ病のリスクを高める恐れ。
さらに、学業成績の低下、就業継続困難などから、貧困にもつながり、経済的には医療費や労働生産性の低下などのかたちで、社会保障財政や雇用主におけるコスト負担に。
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