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執筆者の写真yamashina shigeru

卒業



自分自身をさがし、自己の腹を固め、 どこに達しようと意に介せず、 自己の道をさぐって進む、 という一事以外にぜんぜんなんらの義務も存しなかった。


各人にとってのほんとの天職は、 自分自身に達するというただ一事あるのみだった。



詩人として、 あるいはキチガイとして、 犯罪者として終わろうと、 それは肝要事ではなかった。


肝要なのは、任意な運命でなく、 自己の運命を見いだし、 それを完全にくじけずに生き抜くことだ。


ほかのことはすべて中途半端であり、 逃げる試みであり、 大衆の理想への退却であり、 順応であり、 自己の内心に対する不安であった。


私は自然から投げされたものだった。

不確実なものへ向かって、 おそらくは新しいものへ向かって、 おそらくは無に向かって投げ出されたものだった。


この一投を心の底から存分に働かせ、 その意志を自己の内に感じ、 それをまったく自分のものにするということ、 それだけが私の天職だった。


それだけが。


ヘッセ



高校3年のときに文集に残した言葉。

これがぼくの原点のひとつなのかもしれない。

ここに残したい。

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