奇跡
- yamashina shigeru
- 2020年12月17日
- 読了時間: 4分
【お詫び】
いつも夕食は22時ぐらいになるのだが、そのとき、母が
「いつのか分からんけど名刺が出てきた。これはお客様に失礼だ」
と注意してきた。
正直、そのときは特に心があまり動かなかったのだが…。
いろんな思いが込み上げてきた。
それは何かというと、名刺に書かれてある文言だ。
母が聞いてきたのはこの名刺の最初の言葉
「2020年までに達成するミッション」
つまり、もう2020年が終わろうとしているのに、変ではないかー。
それが失礼だと。

実は、この名刺は2013年10月に制作した名刺だ。
二つ折りの名刺で、当時、スタッフ全員の共通の名刺として制作した。
その中面に記載した内容がこれなのだ。
7年といえば、小学生1年生の子が中学1年生になり、今度は中学2年生だねっていう「時」が流れている。
とは言え、あっという間という感覚だ。
ここに改めて名刺の内容を記載しなおす。
■2020年までに達成するミッション
北陸三県ありがとうプロジェクトを通じて「小矢部市で伝説を作り奇跡を起こす」
■ミッション達成のための方針
①自分の職能を活かし社会貢献を行うプロボノ活動だけではなく、自分の心から湧き出た想いで行動を起こすマイプロジェクトを立ち上げることを支援。
②地域コミュニティの土台として大切な役割を担っていた「暗黙知」を収集し、クロスメディアを利用して見える化を行い、ソーシャルメディアで常に発信。
■ミッション達成のための行動指針
「先義後利」
■ミッション達成のための仕事
ヤマシナ印刷は全力で軽印刷です。
印刷・出版・グラフィックデザイン事業
地域に特化したHP製作/WEB事業
本気の販促物診断無料サービス
映像編集、Ustream配信サポート
AR(拡張現実)を活用した観光事業
ソーシャルメディアサポート事業
農を楽しむソーシャルファームプロジェクト
「おやべレッドオックス」応援グッズ販売
里山体験施設「ラウベおやべ」共同プロジェクト
「おやべローカルかわら版」 ミニコミ紙発行
メルギューくん応援プロジェクト
コワーキングスペース運営事業
未来をシェアする本気で夢を宣言するセミナー
富山初「朝活朝市」企画運営
さて、いろいろ書き記したいことはいっぱいあるのだが、なぜ2020年という期限をきったかというところだけ触れたいと思う。
これは、ヤマシナ印刷を手伝おうと覚悟を決めた時点に話は戻る。
ひとつ得ようとすれば、その代償を支払わなければならない。
ぼくは、コミュニケーションが苦手だ。
特に相手との心の距離が近ければ近いほど。
会社のある富山と家族が住む大阪の二拠点を往復すること、成熟産業としての印刷業を手伝うということ、いろんな意味で家族を犠牲にするような生活を続けることになった。
しかし、ただひとつ確信だけあった。
お金は残せない。
残せるのはひとつ、生き様だけだろうと。
社会にインパクトを与えることができるわけではないし、
有名になりたいとか影響力をつけたいといった野望もない。
ただ、ただ、なすべきことに向き合う生き様は、子どもに伝わる。
それだけを信じていたように思う。
「小矢部で伝説をつくり、奇跡を起こす」という言葉も、一見、大きな「コト」をなすことのように聞こえるが、全くそうではない。
出逢った方の「ありがとう」と「笑顔」をひたすら集めていくことが、いつの日か、どこかで、誰かに奇跡が起きる。
その奇跡は、ヤマシナ印刷だったり自分に起きるのではなく、その出逢った人の人生の中で起きるかもしれない。そんな希望を描いた。
それが、いずれ伝説となり、奇跡という言葉として掲げた。
2020年という期限をきったのは、家族のこと、社長である父の年齢のこと、会社の経営状態のこと、、。
いろいろ客観的に考慮して、2020年まで会社があること自体が奇跡だと思っていたし、どこまで家族に迷惑をかけられるかを考えたとき、区切りのいい約10年後の2020年という期限を切り、それまでにできることをすべてする。
その覚悟を定めるつもりだった。
プラス思考全開の言葉を掲げながら、本心は、悲壮感全開の裏返しとして期限をきったのだ。
森信三さんの修身教授録の言葉の中に、こんな言葉がある。
真実の道というものは、自分がこれを興そうとか、あるいは「自分はこれを開くんだ」というような考えでは、真に開けるものではない。
「自分が道をひらくのだ」というような一切の野心やはからいが消え去って、このわが身わが心の一切を、現在自分が当面しているつとめに向かって捧げ切る「誠」によってのみ、開かれるのであります。
振り返れば、ここ1年程、まさにそのような心境だったのかもしれない。
このミッションのことをほぼ思い出したことがない。
そして今はどうだ。
奇跡は起きたのか。
実は、起きている。
妻から自分の人生のミッションを教えられた。
妻が、トライアスロンに挑戦し始めた。
子どもたちが、他人との比較ではない自分の選択した道を歩んでくれている。
姉と新しいチャレンジを始めることができ、新しい関係が生まれている。
なにより会社が継続している。
言葉にするととてもチープなのだが、当たり前の日常のようで10年前には、全く予想すらなかった未来を今生きている。
今月水道代が引き落とされなかったとか、、お金はないが、、。
奇跡としか言いようのない世界だ。
あながち、ミッションは達成しているのかもしれない。
Comments