幼少の頃、
ある日突然、世界中で一番信頼し尊敬していた人から裏切られる。
受け入れられない現実。
孤独な日々。
その中で自分を支えたのは、持って生まれた人より優れたある才能だった。 その才能を成長させることだけを拠り所に大人になる。
世界から遮断された中で育った才能を、世界に解き放ちたい。 そんな欲求が生まれる。
インターネット革命
閉ざされた自分の部屋から、世界中に配信することが可能となった。 インターネットは、場所と時間を一気に飛び越える力があった。
才能は、世界中に受け入れられ、一気に熱狂的なファンを生み出す。
と同時に、インターネット革命は残酷である。 知る必要もなかった人間の残虐な歴史も目にするようになる。
光と闇。
光が強くなるほど、闇も強くなっていく。
彼女の心が、この両面に触れることで、ひとつの思想を生み始める。
これはこの時代の必然なことかもしれない。
そんなある日、衝撃的な事実を偶然知ることになる。
幼少の頃、裏切られたと思っていた一番大好きな憧れの人。 本当は、深い愛ゆえに、偽りの嘘で、自分を守ってくれたことを。
今まで信じていたことは、間違いだったのだ。
しかし、 あの日から今までの過ぎた時間。
熱狂的なファンとカリスマを演じる自分。
自ら作り上げた「ペルソナ」の仮面を外すことは、許されていなかった。
外して生きる勇気もない。
仮面の自分と、真実の自分。 少しずつ、仮面の自分がリアルとなり、真実の自分は深淵に閉じ込められていく。 仮面をかぶった自分と危険な自らの思想。
WEB3.0 メタバース
新しい技術と思想とペルソナが結びつき始める。
そして、ひとつの計画を発動させる。
「新世界を作るんだ」
小さな部屋からの配信ではなく、超大規模なリアルイベントの開催。
そこで、自分の姿を初めて民衆に見せる。
そして叫ぶ。
「本物の自由を手に入れよう!」 「その自由を束縛している敵は、〇〇だ!」
その声に、熱狂し心酔する観客。
〇〇とは、大好きな憧れの人の社会的職業でもある。
過去の真実を知っているにも関わらず、〇〇が最大の敵だと扇動し、葬りさることを計画する。 ペルソナの暴走、影の投影である。
自分の心の深淵に存在しているモノ。
それを見たくない、知りたくない、存在していることを人に気づかれたくない。
その想いから、自分の心の深淵をもっている人を否定、拒否、攻撃したくなる無意識の欲求だ。
では、本当の自分の欲求は何か。 大好きな憧れの人と再会し、自分を助け出してもらうこと。
そして、自分は本当は〇〇として生きたいと願っている。
しかし、言動は全くその逆である。
暴走はとまらない。
彼女のスピーチには、魔力が宿っているほど力があった。
観衆を洗脳し、自分が理想とする仮想世界にどんどん誘導していく。 そして仮想世界で味わえる自由な「新世界」がどれほど素晴らしいかを提案する。
「労働や苦痛を伴うこと、一切不要。」
「仮想世界だけで愉快に生きればいい。」
そういった極端な思想に民衆を誘導していく。
もちろん、それに反発する声も生まれるが、その反発をも、さらに覆いつくす極端な思想に、どんどん傾倒していき、実行していく。
「この世界には、肉体すら必要ない。」 「心があればそれで充分だ。」
「人は人の姿である必要すらない。」
そんな彼女を止めようと必死になる友。
しかし、彼女の幼さがそうさせたのか…、後戻りできない刹那的方法まで手を伸ばす。
ついに、古代から現代まで続く人の寂しさと辛さを吸収した思いの集合体が、言霊の力を借り、抽象と具象を行き来きしながら、現実世界に現れる。
それは、大きなうねりを持った世界的な世論、時代の空気、とも言えるし、抽象概念を信じる力を持っている人間にとっては具象した現実ともいえる。
その思いの集合体の出現の引き金を引いたのは、彼女の心の叫びであるが、もう彼女ですらそれを止めることはできない。。
思いの集合体を止める唯一の方法は、 仮想空間と現実世界 心の世界と肉体の世界 陰陽からなる両方の世界から、同時にアプローチすることだ。
どちらか一方だけでは、まったく効き目がないのだ。
二つの世界を分つ、その中心にそびえたつ「闇の魔王」に克つにはその方法しかない。
それは実現可能なのか。
可能だとして、何が必要なのか。
師と弟子の関係、親と子の関係、、、。
それを結びつけるものは何か。 彼女の心を助けることはできるのか。 大好きな憧れの人との関係性はどうなるのか。
ペルソナ 影の投影 心の暴走 仮想現実
そういった深いテーマを表現しながら、完璧なエンターテイメントとして成立させ、さらに、その物語を演じる人たちの思いにも触れ、次の展開に期待させる。
先週、家族で鑑賞した映画の感想でした。
二度目観に行きました。
ウタもシャンクスもルフィーもゴードンも。
誰一人選択肢を間違っていない。
その瞬間、その瞬間、最善の選択をしているだけなのだ。
人生に決して間違いはないのかもしれない。
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