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執筆者の写真yamashina shigeru

生成発展

宇宙に存在するすべてのものは、つねに生成し、たえず発展する。万物は日に新たであり、生成発展は自然の理法である。 (松下幸之助)

 

元々は素粒子のかたまりでしかなかった宇宙は、一瞬たりともとどまることなく生成発展を続け、137億年をかけて、ついには我々人類のような高等生物までを生み出してくれた。 (稲盛和夫)

 


宇宙は常に生成発展し続けている。

そして人間も宇宙の一部であるならば、生成発展の方向に生きることが、命の喜びであり、摂理に素直な生き方である。


っていう、この生成発展の概念が、否定することはないのだが、腹落ちできない感覚があった。確かにこの世界、この宇宙を観察すると、現実としてはそうなのだろうが、身体感覚として、イマイチしっくりきてないというか。


それが、偶然ポットキャストで聞いた内容と、最近仕事で起きた出来事を通じて、少し理解できたように思えた。



先日、商品ラベル印刷の依頼があった。 データは、すでにお客様のほうで制作してあり、こちらは印刷するだけの簡単な仕事だ。 データはワードで制作されているもので、必要な言葉を並べてあるだけに過ぎない。

だからといって、よくないとは思わないのだが、もう少し改善はできるだろうと思う。


すると、今回、商品の種類を記載するところを変更して印刷してほしいという依頼があった。 つまり、こちら(ヤマシナ印刷)で一部文字を修正してほしいと。


この依頼は、実はすごく簡単な依頼のようで、いろいろ問題をはらんでいる。

変更がないのであれば、そのまま印刷するのがもちろん簡単なのだが、変更する(今後もそういった依頼がある可能性がある)のだったら、データを全部専用ソフトで作り直したほうが、結局楽なのだ。


変更箇所の商品名の文字数によって余白の微調整だったり、印刷工程時の面付作業だったり。 これは印刷から裁断、納品までの行程が分かってないとなかなか理解されにくいところなのだが。

ということで、ラベルデザインを全部一度作り直すことにしました。

この場合、だからといってお客様からデザイン費を頂くわけにもいかない。


ここでひとつ問題が発生する。

そのまま作り直すよりかは、ほんの少しでもバランスよくデザインしたいという「下心」が沸き起こるのだ。


この「下心」は止められない。

人は、自由にモノづくりができる状態になれば、誰もが、前よりもいいものにしたいという欲求が生まれるのではないか。 2mm程度内側に移動させて、このイラストはもうちょっと下にずらす…、みたいな、見た目そんなに差はないのだけど、こちらはプロとして気になるのだ。



今日偶然聞いたポットキャストのお話

ファッションデザイナーの廣川玉枝さんの言葉だ。 「人は石器時代から、モノを作り続けている。 今、目の前の存在している人工物すべては、かならず誰かがデザインしたものだ。 ボタンひとつ、ネジひとつ、すべては、使い手のことを考え、機能性のことを考え、価格面を考え、デザインされている。 そして、デザインに込められた心には、必ず前よりもいいものを作りたいという想いがあるのではないか。」



自分が身近で関わっている仕事とデザインの世界。 自分の身体感覚を通じて、「宇宙は常に生成発展に進む」という言葉が、よりリアルな感情として理解できたように思えた。

 

もちろん、この生成発展したいという欲求は、ぼくらが生きている環境にも少なからず影響されていることは確かだろう。

それを差し引いたとしても、この感情は残るのではないか。

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