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執筆者の写真yamashina shigeru

変わらない真理を超える

更新日:2021年8月21日

毎年恒例

お盆は富山市の真国寺でキャストとして働かせていただいている。



今回新しい試みのひとつで、「お墓参りコンシェルジュ」を始めた。

例えば、ご高齢の方がひとりでお墓参りに来られた場合、荷物を持ってあげたり、線香に火をつけるお手伝いをしたり…、一緒にお墓参りを同伴してお手伝いをするというサービスだ。

 

これは、夏の暑さが毎年厳しくなり、想定外な危険を伴う可能性もあるからだ。

 

ただ、今年は暑さではなく、災害レベルの雨が降り続くことになり、これまででは考えられないほどお参りに来られる方が少なかった。

気温も肌寒いぐらいで、熱中症などを気にすることはなかった。

 

それでも、悪天候の中、しっかりとお墓まりに来られる方がいる。

 

ある子連れのご夫婦が来られたとき、傘の本数が足りず、子供も動き回り、子供が転ぶか、親が雨でずぶぬれになるか、、そんな状況だった。

 

そんなとき、さっとキャストの一人が、お寺の傘をもっていき、ご夫婦に手渡した。

「ぜひ利用ください」

と。

 

なんて素敵な機転が利くのだろうと、、同じキャストではあるがその俊敏な動きに感動した。

同時に心の中にひとつ疑問を感じたのだ。

 

新サービスの「お墓参りコンシェルジュ」と「今の機敏な対応」。

片方は有料、片方はもちろん無料の善意の行動だ。

 

たとえば、傘のレンタルが100円だとしたら、機敏に困っている人に傘を渡せるだろうか…。

 

この心のモヤモヤだ。

 


 

この件に関して、住職はすばらしい見解を言われた。

 

ご高齢にもかかわらず、ひとりでお墓参りに来るということは、家を出る瞬間からある程度覚悟をもってきているはず。

その覚悟を尊重する必要があるのではないか。

お墓参りコンシェルジュは、すばらしいサービスだが、本来は、事前に告知し予約をいただくカタチがいいのではないか。

と。

 

家をでる瞬間から覚悟しているはず。

 

この心をまったく理解できていなかった。

この場合の覚悟には「命」も含まれているだろう。


確かにそうだと思えるおじいさんに出会った。

 

そのおじいさんは、見た目明らかに80歳は超えている。

腰はほぼ90度近くに曲がり、足もあまり上にあげることができない。

お寺の前は坂道になっているので、足を上にあげられないと、一歩一歩がすごく小さくなる。

なんとか、なんとかの感じでお寺にたどり着いたおじいさん。


さすがに見かねて、

「少し座って休憩してはいかがですか?」

と声をかけた。


しかし、声は明らかに聞こえていたはずだが

「あれを取りにいかなあかんから」

と小さく返事をし、一直線にお寺の横に準備してあるホウキと柄杓を取りにいった。

そしてそのままお墓参りへ。


その足取りを見ていたが、ゆっくりとはしているが、立ち止まろうとする雰囲気は一切なく、ただ一心にお墓参りをされ、そのまま隙なく帰路につかれた。

無駄のない動きだった。


大事な方のお墓参りだったのか、それともお盆の大切なルーティンであるのか。

それはわからないが、覚悟がそこに見えた。

 

最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。唯一、生き残るのは変化できる者である。

ダーウィンの言葉だ。お盆の最後に住職が話された内容だ。



人類が常識だと思っている多くの生活様式。

男女の生き方、家族のあり方、国家のあり方、思想、宗教、文明…

そのすべてが

①戦争

②飢餓

③疫病

この3つを克服するために人類が編み出した発明だそうだ。

確かに考えてみれば納得がいく。


そして、この3つを克服しようとしている人類だからこそ、国家、思想、宗教、文明等のアップデートを望む声があがっているのだろう。

そこに新型コロナという影響があり、判断に混乱を招いている。

 

しかし、さらにこの3つよりも深い土台があるのではないか。

それこそ

①人は必ず死ぬ

②人生は一度きり

③人はいつ死ぬかわからない

 

この変わらない真理があることを理解し受け入れつつ、それを前向きに自分なりの方法で、乗り越えようと覚悟をもつ。


その行動が、おじいさんの行動だったのかもしれない。

それは誰も否定することは困難だ。

 

その覚悟をすべてわからないなりにも、受け入れた上でどんなサポートができるのか。

それが問われたように思う。

 


現実を受け入れて上で、覚悟をし行動すること。

その行動自体は30年以上同じ行動かもしれないが、

体力があるからできている行動と

覚悟を決めてしている行動では、

同じ行動でも趣が違うように思う。

 

その行動こそ、本人よりむしり周囲に変容を促すトリガーになるのではないか。



PS

今回の「お墓参りコンシェルジュ」。

これも同様で、変化を恐れず挑んだことで気づいたことがとても多い。

実践、または一度カタチにすることで気づくことはある。




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