平日の朝6時前。
実家に用事があり、車で向かっていた。
そのとき実家近くの靴店からちょうど店主が現れ、シャッターを開けはじめた。
店主は、ぼくの父と同じぐらいの歳。
白髪で70歳は超えてるようにみえる。
年齢的にもシャッターを開ける動作は結構大変なはずだが、そこにストレスを感じる動作を一切感じさせない。 颯爽と、シャッターを開け始めた。
そのお店は、中学までずっとお世話になったお店。 大体、母が最寄の商店でお買い物をし、金額に合わせた切手のようなものを集め、それを専用のシートに貼り、満杯になると500円引きとかになるサービスを利用して、靴を買ってくれていた。 その糊つけをしていることもあって分厚くどっしりとしたシートが、なぜか子どものぼくにとって、本物の札束のような気持ちにさせてくれてたことを思い出す。
靴は、その靴店で中学卒業までほぼ同じものを選んでいた。 色は白、値段は大体1000円ぐらいの一番安いスポーツシューズだ。
ぼくはホッケーをしていたのだが、 「練習の成果=シューズに穴があく」 という目安を考えていて、いかに短時間でシューズに穴が開くかを自分の中で競っていた。 高校になってからは、靴は砺波や高岡の有名なチェーン店で買うようになった。
さて、その靴店のビジネスはどうなんだろう。 何十年近くお店に入ったこともないし、興味をいだいたことすらない。
ぼくが子どものころからすでに、近くのなじみのお客様が顔を出す程度だった気がする。 子ども心に、「この靴店はどうやった商売してるんかな?」って思っていた記憶すらある。
それから、30年。
いまだにお店はしっかりとオープンしている。
続ける強さはどこにあるのだろうか。
朝6時に店主の颯爽とシャッターを開ける姿、しかも、そこに一切の躊躇のない動き。
これは店主の朝のルーティーンであり、今日が特別の日なのではなく、毎日その時間にシャッターを開けているのだろう。
商いってなんだろう。
Comments