素直に耳を傾ける。
それは、簡単なように見えてすごく難しい作業だ。
素直とはどういうことなのか。
その定義は人それぞれだろう。
素直に音の楽しみ、素直に心に従い、素直に耳を傾ける。
もしそれができるのであれば、
世界は輝きに満ちているはずだ。
以下、堀田さんの文章。古本屋をはじめる前の言葉だ。
楽器と出会い 音楽を知り
たくさんの人と出会い 様々な生き方を知る
小学校から高校を卒業するまで続けていた吹奏楽。
きっかけは好きな女の子がフルートを吹いていたという今思えばなんとも不純な動機だったのだけど、何かを始めるきっかけなんて些細なことで構わない。
特に自慢するような武勇伝や何かを持ち合わせている訳でもなく、ごく人並みに学校生活を過ごしたと思う。
唯一達成感を味わえた事と言えば、小学校から続けている吹奏楽を学生生活の間ずっと続けることが出来たこと位だった。
高校を卒業し、とある地元の電機メーカーに就職。
従業員数約400人程の中小企業で、僕は設計と製造業務を経験させてもらった。
社会人になってからも音楽は続けていて、バンドを組んではリハーサルにライブにと、大変な時期もあったが仕事と趣味を賑やかに両立していた。
仕事は仕事でしっかりとこなしていたが、気が付けば聴く音楽も増え、当たり前のように音楽やバンドの事ばかりを考えている日々。
仕事が終われば本屋やレコード屋に向かい、そのまま友人宅やスタジオに寄り道し、いつしか仕事よりも充実した時間をそこで過ごしていた。
面白そうなライブがあれば仕事帰りに見に行くこともしばしばで、素晴らしい内容のものであれば出待ちをして感想を伝えに行くこともあった。
ある日の仕事帰り、誘われるままに見に行った小さな花屋での演奏がとても素晴らしく、例のごとく感想を伝えようと話しかけてみると、汗をかいたままの姿でとても喜んで下さったことがあった。
そのまま会場の外へ出て、今までの経歴やこれからの活動内容、また現在どんな環境にいて今後どんな生活を目指しているかなど、演奏終わりの疲れている状況にも関わらず随分と刺激的な、中身のある話をたくさん聴かせてもらったことがあった。
あれからもう何年経ったかは憶えていないけど、その方は今でも僕の憧れであり、また生き方まで憧れた初めての人だった事はしっかり憶えている。
モノづくりというのはその作り手の価値観が表れるものでもあり、生活もまた価値観の表れとなる。
この出会いがきっかけで様々な生き方、人の価値観というものにも興味が湧き、その後も魅力的な生き方から驚くようなものまでたくさんの話を聴き、読み、想像した。
と同時に自分の生き方と比較しては、憧れながらも現実と向き合い、働きながらそのまま音楽を楽しんでいた。
ずっと仕事と音楽を上手く両立させていた訳ではなく、いざこざの絶えない時期が長く続いたこともある。相当の無茶をして激しく後悔をしたこともあり、今こうして自立支援のサポートをしながらこの文章を書いているのも当時の無茶がそうさせたことに繋がる。
しかし今のこの仕事は決して不本意な結果ではなく、ちゃんと自分で選び決断したことなのだ。
人は常に判断、決断をしながら生きている。
なんとなく生きている人でも、実はなんとなく選び、なんとなく判断しながら生きている。僕がここ最近で大きな判断、決断をしたのは2016年4月、23年間務めた会社を退職した事だった。
仕事とプライベート、色んな出来事や条件がこの時期に重なり、正直倒れそうになった。
しかし自分の撒いた種とも言える部分や当時納得出来なかった製造現場の現状、また自分のやりたい事、出来る事、やってきた事などを考えるとこのタイミングしかなかったのだと、今でも思っている。
現在、生活困窮者の自立支援業務に携わりながら自らでも何か出来ないかと考えているが、その第一歩として動き始めたのが自宅の一部を使ったコミュニティスペースの提供である。
幸いにも家の中心に24畳程の広間があり、以前はバンドのリハーサルや演奏の企画をしては賑やかに過ごしていたが、この環境を活かして色んな人達が各々のペースで足を延ばしながら行き来する、誰かの生き方が誰かの生き方の参考になったりならなかったり、聴きたくなければ寝ても良い、色んな人の生き方が交差する場所になればと思っている。
楽器と出会い、音楽を知り、たくさんの人と出会い、様々な生き方を知る。
人の生き方には様々な形があって、どれが正解でも間違いでもないと思う。
もし生き方に迷っている、悩んでいる、どこか生きづらさを感じていたら、何か一緒に考えてみたいです。
人は皆、持ちつ持たれつ。
みんなが主役でみんながマネージャーである為に。
Comentários