蚕起食桑 かいこおきてくわをはむ
卵から孵化した蚕が盛んに桑の葉を食べ始める頃。 蚕は、「一頭、二頭」と数える。
人々の暮らしを支える大変重要な生き物だったので、牛や馬などと同じく家畜として扱われてきたため。
同じ理由から、「おかいこさま」と呼ぶ地域も多い。
個人的にも、「おかいこさま」と呼ぶほうがしっくりくる。
これまでの人生の中で養蚕に関わったこともないし、身近で養蚕を見たこともほとんどない。
にもかかわらず、「おかいこさま」という言葉に違和感を感じない。
ここに、大切な心があるように感じる。
会社の近くで、蚕から育てているstudioTAOの福島さんのことを思い出し、久しぶりにメッセージを送ってみた。
すると、体調を崩されているということで、今年は蚕を飼うことは難しいと返事をいただいた。
とても残念だったが、せかっくなので、「はちみつうか」をプレゼントさせていただいた。
来年のいまごろ、もう一度会いにいこう!
縁は大切にしたい。
▼天然素材と天然染料にこだわった、手紡ぎ手織り手染めの布工房
【蚕】 「蚕」の旧字体(「蠶」)は、かなり複雑な文字。
「潜」という字からさんずいを除き、その下に「虫」という字をふたつ並べてある。
これは、桑の葉に潜む蚕の様子を表している。
のちに、わかりやすく表現するため、「天」の下に「虫」と書くようになる。
古事記・日本書紀をひもとくと、蚕は稲や麦・大豆などの穀物とともに、ほろびゆく神の肉体から生まれ出たと記されている。
蚕は、天の神がこの世にもたらした特別な生き物なのだ。
日本ではおよそ1800年前に養蚕が伝わったといわれている。
卑弥呼が国産の絹を中国・魏の帝に献上した記録も残っている。
蚕は、野生動物としては生息しない。
野生回帰能力を完全に失った唯一の家畜化動物として知られ、餌がなくなっても自ら探したり逃げ出したりすることがなく、人間による管理なしでは生きることができない。
日本の企業「エリー」は、パテの50%に蚕を使用したシルクバーガーやおやつを開発中。
シルクフードの社会実装を目指すそうだ。
#72プロジェクト 72プロジェクトとは、日本の七十二候に向き合い、生活の中の変化に出逢うプロジェクトです。
そのことで、 ど真ん中を生きる中で、命の縦軸を慮る。 (生まれ育たった風土と自分の関係性)
ど真ん中を生きる中で、未来への絆を深める。 (生活の中の気づきを子どもたちへ伝承)
ど真ん中を生きる中で、今に思いを馳せる。 (営みの中の小さな変化への気づきを察する)
そういったプロジェクトです。
七十二候のパステルアート ここあーと みやばやし ともこ
七十二候の書 おちゃやれ堂 中井 好子
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