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執筆者の写真yamashina shigeru

風土と生きる人と組織を作る



とにかく思考が飛ぶ。

飛んで、飛んで、戻ってくる。

思考も居場所自体も、いろいろ飛んでみると見えてくるものがある。

一番見えてくるのは、自分の力量と自分は何を大切にしているかということだ。


飛ぶときは、あまり意識することはないが、

最終的に気付くのは、自分とは一体どういう人間なのかということだ。


ふるさとと向き合うということは、簡単なことではない。

飛んだ旅先で自分をさらけ出すのとは大違いだ。


ふるさとでさらけ出した「恥」は、いいこともわるいこともすべて

自分を育んだ過去と未来に影響を与えることになる。


それは人として生まれた醍醐味であることは確かだ。


以下、松本くんの文章。



こんにちは。松本八治です。

株式会社まとめる専門家という会社を2018年6月に設立、富山県南砺市を拠点に活動しています。

2016年からフリーランスという個人事業主として「まとめる専門家」という屋号を自ら名乗り、活動していました。いわゆる「法人成り」というカタチで、僕の他にデザイナーの1名スタッフと、色々なスキルや知識を持つ方を「副業」というスタイルで関わっていただき仕事をさせていただいています。

 

改めて、自己紹介です。

自己紹介や初対面での名刺交換で必ず聞かれることは、「八治ってどう読むのですか?」、「八治の由来は何ですか?」、「八男坊ですか?」という名前に関する質問。保育園の頃から必ずと言っていいほど聞かれる質問で、正直毎年4月は入学やクラス替えのタイミングで自己紹介をすることが億劫だったことを覚えています。

読み方は、「八治(はつじ)」といいます。

実は僕の名前は祖父が付けてくれましたが、祖父の父親である「八蔵(はつぞう)」という名前を僕に付けたかったそうです。

しかし、親戚などから「古臭い名前で孫が可愛そう!」というバッシングを受け、末広がりで縁起のいい「八」を残して、「治める(おさめる)」という意味の「治」を付けてくれました。

子供の頃は変わった名前はイジられる格好の対象となっていたので「なんでこんな変な名前をつけてくれたんだろう(怒)」と内心思っていましたが、独立してからは逆に印象に残りやすいことや、検索で被りくいなどいいこともありインターネットが進んだ社会では、ユニークな名前はメリットもあるなと思うようになりました。

また、名前からも今の会社名である「まとめる専門家」というニュアンスも入っているので、なんだか不思議です。

 

そんな僕の学生時代を振り返ると、何か目立った実績はあまりなく、覚えてもいません。

唯一の「何かできたかな」と思う体験としては、大学で男子バスケットボール部でコーチをしたことです。

僕は小・中学校は野球、高校からバスケットボールを始めたため、大学まで部活をする学生のほとんどが、小・中学校から部活動で競技をしており、チームのキャプテンやエースだった人ばかり。

そんなプレイヤーの中でそう簡単に活躍はできませんでしたが、3年生の時に部活の顧問先生が出張で不在になることをきっかけにコーチをすることになりました。

そのまま4年生の引退までコーチをしていましたが、僕が選手をすることよりも良い成績を上げることができたし、自分が考えた方法論や戦略を試合を通じて検証することが楽しかったことを覚えています。

あとから先生に聞いたところ、僕自身はプレイヤーとしての実力はともかく、チーム内で比較的に意見をしているところから臨時的にコーチを依頼してみたそうでした。

ただ、「分析や戦略を正しく行い、自分たちの強みを活かしたチーム(組織)を作れば、成果を出せる」ということを体感したことは、今の「まとめる専門家」としての仕事を始める上での「自分の特徴」を考える大きな原点となりました。

 

そんなほぼ部活かアルバイトをしていた僕の大学時代でしたが、就職は地元の富山県に戻ってくることだけはなんとなく決めていました。

文系でしたが、仕組みを作ることや社会で広く使ってもらう仕事にしたいと考え、「システムエンジニアになりたい」と思い、県内のIT企業に就職。しかし、人をまとめることが災いしてか、プログラミングではなく、人と接する営業やシステムの運用をサポートする仕事に就くことになりました。

 

なんとなく「このまま会社にいても自分の思う仕事ができるのかなぁ」と思っていたときに、人生での大きな変化がありました。23歳のときに、幼馴染の友人が亡くなったことです。

これからも一緒にいると思っていた時間が急になくなってしまい、一方で生きている自分がいることで、残りの人生の時間をどのように生きていこうかを考え始めるようになりました。

 

その後は、会社の仕事でステップアップをしたいという思いの他に、社外のセミナーや勉強会を主催するなど活動の幅を社外にも広げていきました。

社会人4年目には東京に転勤することになり、東京で「つなぐ専門家」としてフリーランスで活動する男性と出会いました。

まさに人と人をつなぐことで、繋がる人の価値を高めたり、新しい価値を生み出す仕事をしていて、「世の中にはそんな仕事もあるのか」と衝撃を受けました。

 

なぜ、「人をつなぐ」ことに衝撃を受けたかというと、僕の勤めていた企業はいわゆる数千人規模の大企業だったので、専門分野に長けた社員、それなりの資金、仕事の仕組みもあります。

ただし、お互いの立場や目的の違いから新たなゴールを目指すのはとても難しいと多くの組織や会社と仕事をする中で感じていました。

日本の企業でも新たしい事業を生み・育てにくい理由の多くは、コミュニケーションのあり方・相互理解に問題があるではないかと感じていたからです。

 

僕自身ではエンジニアではありませんでしたが、「コミュニケーションを設計する」、「仕組みを創る」、「組織を動かす」ことはこれまでの経験や性格を含めて得意だったので、この分野で何か自分で仕事ができるのではないかと思いました。

また、会社員を辞めて富山県にUターンをした地方での生活でも、会議や組織運営に課題を抱える企業や自治体・大学などは多くあり、自分の得意なことが地域にも役立つかもしれないと考え、独立して仕事をするようにしました。

 

改めて「まとめる専門家」とは、様々な組織間が関わる事業のプロジェクトマネージャーや地域の人々をつなぐローカルコーディネーターをメインに仕事をしています。

この領域をメインに、イベントやシンポジウムなどを通じて企業の商品や自治体や大学の取り組みを理解してもらうための広報・PRの仕事、議論の可視化や組織運営などの人材育成などの仕事を行っています。

 

会社のビジョンである「風土と生きる人と組織を作る」と掲げた理由は、「自分の仕事に誇りを持っている人の共通点は地域や風土が紐付いている」ことだと感じたからです。ただ、地方の個人の作家や企業などの組織は世の中にあまり知られていない、正しく理解されていないことが多いです。

僕たちは自分たちの「まとめる」というプロセスを通じて、より地域で働くことに誇りを持ってもらい、地方にいても世界を驚かせるような挑戦をどんどんしていく環境を創りたい。そのために、必要なリソースを集めたり、コミュニケーションを良くすることで、お客さんの事業としての成功を一緒に寄り添って取り組みたいと考えています。そうすることで「地方でも起業したら面白いな」と思える若い人が自然と増えてくることが今の僕の目標です。


僕にとってのど真ん中名刺とは

 

僕がど真ん中名刺を初めて作ったのは、フリーランスとして独立することになった2016年4月。

「まとめる専門家」という屋号だけは決めていたが、具体的にどのような仕事・役割を果たしていくのか、当時の僕自身は目の前のお客様から求められる仕事だけが決まっており、長期的なビジョンや計画はなく、ある意味見切り発車での起業でした。

 

その中で、自分のこれまでの活動や自分らしさを考える機会になると思い、ど真ん中名刺ワークショップを受けました。起業する前からど真ん中名刺ワークショップを行っているイーラボには通っており、横目でど真ん中名刺作りをしている方々を見かけていました。

 

何度も名刺の相談に来ている人も見かけ、正直「名刺を作ることはそんな難しいのかなぁ」と思っていっていました。

ところが、いざ自分が作る側になってみると、自分の過去と向き合い、現在の行動を照らし合わせて、将来の自分がなるべき姿を考えるのは、結構しんどい時間でした。

 

誰しも過去には失敗や挫折があったり、そこから学んだことを実践しきれていない今の自分がいて、なりたい自分になるということは今の自分よりも高いハードルを設定することを意味します。

 

ただ、そのように自分のことをふりかえり、自分のビジョンや社会とのポジションを確認することは人生の中ではすごく重要な時間です。

 

競争の激しいシリコンバレーでも「自分の履歴書は毎月更新しろ」と言われるほど、自分のキャリアをふりかえる、整理する、目指すキャリアに向けて行動することは、成長していきたい人にとっては必要不可欠です。

 

今思えば会社員のほとんどは、会社から社内での役割を書かれた名刺を渡されます。自分を見直すことについて期待されることもほとんどないと思います。

 

まだ起業して3年目ですが、会社員の方やこれから起業を考える方から「どうしたら松本さんのように起業して生活していけるのですか?」という相談が少なからず定期的に受けます。

 

そういう人こそ、「ど真ん中名刺」に挑戦してほしい。

起業はあくまでも、自分のやりたいこと、社会の課題を解決する手段の一つにしか過ぎません。

それよりも、自分の性格や特性、内に秘めた「何かみんなと違う」という想いに気づき、大切にして欲しい。

 

ど真ん中名刺を作ること自体が、自分らしさを見つめる一つのプロセスだと僕は思います。

 

また定期的にど真ん中名刺を更新することをオススメします。

なぜなら自分だけでなく、家庭や友人関係、時間の経過によっても本人の軸と社会との関係は変化していくからです。

ど真ん中名刺を更新することで、これまでのど真ん中な想いを続けた結果から生まれる新たな想いや、なりたい自分を見つける人が増えてくることを僕も楽しみにしています。

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