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執筆者の写真yamashina shigeru

推譲

朝活大学素読会でした。




一家仁なれば、一國仁に興り

一家讓なれば、一國讓に興り

一人貪戻なれば、一國亂を作す


一家が思いやりの心でまとまれば、自ずと国もそうなる。

一家が譲り合う家庭であれば、自ずと国もそうなる。

君子が貧欲で道理を無視すれば、国は乱れる。

 

解説には、ここにでてくる「譲」が、二宮尊徳、上杉鷹山に影響を与えたであろうと書かれてある。

有名は話だが、二宮尊徳が薪を背負って読んでいる本は「大学」である。

 

二宮尊徳が残した言葉に「推譲」がある。


推譲の道は百石の身代の者、五十石にして暮らしを立て、五十石を譲るをいう。 この推譲の法は、わが教え第一の法にして、すなわち家産維持かつ漸次増殖の方法なり。 家産を永遠に維持すべき道は、この外になし。

収入の半分を「分度」、つまり自分の生活のために使う上限を定め、残りを「譲る」という道だ。

譲り方は、将来の子どもたちの貯蓄、家の修繕費用のための貯蓄、地域のため、国のために譲る。


この「分度」「推譲」「勤労」の3つが二宮尊徳の考えの中心になっているようだ。

しっかり働き、収入を得る。

そして自分のために利用する分度を定め、残りは社会に譲る。

 

到底簡単にできるような考えではない。

ただ、永遠に維持すべき道とあるとおり、もしも「永続」する家、会社、国を運営していくには、また、もし一人だけではなく、コミュニティの誰もが同じマインドで実践できるとしたら…、理想の言葉に聞こえるが、すごく現実的で実践的な教えなのかもしれない。



二宮翁夜話の中にこんな文章がある。


人と生まれ出でたるうえは、必ず死する物と覚悟する時は、一日活きれば則ち、一日の儲け、一年活きれば一年の益なり。 故に本来わが身もなき物、わが家もなき物と覚悟すれば、あとは百事百般みな儲けなり。

二宮尊徳にとって、生まれた時の丸裸の状態が当たり前で、自分の身体と精神以外は、すべて儲けであり、自分のモノでもないという覚悟があったのだろう。

だからこそ「推譲」を素直に実践していくことができたのかもしれない。

 


もうひとつ気になる言葉があった。


推譲は創業の道なり 分度は守成の道なり 推譲によって興らざる者はあらず 分度によって保たざる者はあらず

ここまでくると、二宮尊徳という人物が、一流の経営コンサルタントに思えてくる。

お金をどう活用していくべきか、お金の性質を探究し、実践された人物なのだろう。


次回は2月9日(木)7時開催

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