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執筆者の写真yamashina shigeru

発酵

藍を一度手放してみた藍染め屋 Vol2



最近私の中に下りてきた、わたしを表現するキーワードが「発酵」

これに気づいたのは、ここ1,2年。


そもそも藍染とは、微生物の力を借りて発酵して色を出す。

江戸時代から続く「天然発酵建て」という技法だ。


発酵という力が働かなければ、色は出せない。



20代前半、藍染をする前に何をしていたかというと、天然酵母でパンを焼いていた。

酵母を起こすところから始めていた。


パンも発酵なんです。



藍染を始めた時によく質問されたことが2つある。


一つ目は

「どうして藍染を始めたのですか?」


何か始めることに対して、大きな理由があるのでしょうか。

私は一言で言える理由はないなと思っている。


すごい雑な言葉になるけど、「好きだからやっている」という答えで乗り切ってきた。

「好き」には、理由はいらないじゃないですか。


二つ目は

「どんな方法で藍染しているのですか?」


自然の材料をひとつの亀の中に入れて、発酵させることで色が生まれる。

その工程がすごく好きで、何もないところからあおい美しい色が生まれるのは、楽しい。



この2つの質問の答えを繰り返し説明していく中で、藍染も天然酵母パンも、または人間関係も同じなんじゃないかいうことに気づく。


材料がひとつひとつ別々にあるときは、何も起きない。

それをひとつの亀の中に入れると発酵する。


私は、人間関係も同じだなと。


それぞれ点の状態でいる時は何も起こらないけど、それがひとつの場所に集まって何か物事を起こすとなったら、集まらなければ生まれてこない感情だったりパワーが生まれる。


そういう変化やあり方が好き。

合わさって何かを作る。


藍染をやると決めて始めるまで2年間あるのだけど、その2年間、来る日も来る日も藍染のことばかり考えていた。


2年間考え続けて、藍染始めた。

始めてからも、毎日藍染のことを考えている。

それでも飽きない。


自分たちが住んでいる村との関係でいうと、この場所に藍染屋があることで、この村にどんな変化が生まれるのか。

それにすごく興味が湧く。


南部歩美という人間が、この場所に来ることで、どんな変化が生まれるのか。


発酵とは、それまでと全く違うものになること。


発酵したい人間なんだ。


つづく。

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