top of page

嘘の儀式

2月3日
読了時間: 4分

更新日:2月5日

マネーバイアス

ピーター・カーニック 著


17番目の嘘

プロジェクトを始めるには

ビジネスプランと予算と元手のお金が必要だ


ちょうど会社で「きなこ棒」の販売に向けて打ち合わせをしているとき。

売上と経費をどうしていくべきかを考え始めた。

そのとたんに、これまでのクリエイティブは会話から一転し、シリアスな会議に変わった。

その影響はつづき、試作を作るにしても、コストや設備のことに敏感な対応になった。


このとき、正直どう反応すればよかったのか、すぐに答えを見つけることのできない自分がいた。結果、正しい選択ではなく、恐れへの反応をしてしまったように思う。


なぜ、これほど話題がお金になった瞬間に、見ている世界が変わるのか。


改めて本書の内容に戻る。



ベンチャーキャピタリストやバンカーは、実際にはビジネスプランを見ているのではなく、「人」を見ている。

案件の是非は先に決まっており、数字は後からそれらしく整えられることも多い。

多くの人はそのことを、心の奥ではうっすらと理解している。

それでも誰も口にせず、ビジネスプランや予算の重要性が語られ続ける。


この「嘘の儀式」は、なぜ続くのだろうか。


その奥にあるのは、

・間違えることへの恐れ

・責任を引き受けることへの恐れ

・不確実性に、理由や保証なしで立つことへの恐れ

・「そういうものだから」という空気


そしてさらに言えば、自由への未熟さがあるように思う。



自由とは、「本当の自分で立つ」ことだ。

恐れに反応して選ぶのではなく、自分として選び、引き受けること。

そこからしか、本当の選択も、責任も、生まれない。


けれど私たちは、本当の自分に立ち、自由を手にしたとしても、その自由をどう扱えばいいのかを学んでこなかったのかもしれない。

個人にも、社会にも、「自由への未熟さ」が残っている。

そこに、日本的価値観——調和や空気を重んじる文化が重なり、話はさらに複雑になってるように感じる。



結局のところ、


・本当の自分に立つことへの恐れ

・自由への未熟さ

・日本的価値観への違和感や反発


それらが絡み合い、私たちは今日も「嘘の儀式」を続けているのだろう。



もうひとつ。

この章は「ソース原理」と深くつながっていると感じた。


起業家が最初の一歩を踏み出すとき、そこにあるのは次のような特徴だ。


・湧き出る熱量に身を任せている

・ビジョンの実現に集中している

・0→1を生み出そうとしている

・リソースの有無を気にしていない

・許可や同意を前提にしていない


ここには、ビジネスプランの良し悪しも、予算の話も出てこない。

これらに共通しているのは、「未来の不安に反応していない」という点だ。


これは、リスクを承知の上で一歩を踏み出すソースの在り方と、ほとんど同じである。


起業家は「やらねばならない」から動くのではない。

「やらずにはいられない」から動く。

その瞬間、その人は明確にソースに立っている。



ソースが描く世界に共振した仲間が集まる。

ソースは仲間の話を聞き、仲間はソースのビジョンの話を聞く。

この関係性が育つとき、ソースは自然と「存在感を持つ人」になっていく。


本書で語られている通り、バンカーやベンチャーキャピタリストは、実際にはビジネスプランではなく、人そのものに投資している。

ただし、そのような人は往々にして「お金を必要としていない」。

それは、すでに十分なお金を持っているからではない。

どんな形であれ、その人が関わるプロジェクトは成功する可能性が高いからだ。


ここに大切な真実があるように思う。


ここにあるのは、個人としてのソースの力だけでなく、ソースと仲間たちが生み出すクリエイティブ・フィールドの価値である。



ここで、「価値」について改めて考えたい。


価値とは、本当の自分に立ち、世界に対して自分として応答することだ。


これがなぜ価値になるのか。

それは、誰かの背中をそっと押し、その人が本当の自分を思い出すきっかけになる力があるからだ。


自由は、こうして伝搬していく。

人は、この「選択された行為」から立ち上がる価値に対して、お金を支払いたくなる。


▼もっと詳しくは16番目の嘘に紹介しています


そう考えていくと、この章はビジネスプランを考える前に何を整えないといけないのかを伝えてくれているように思う。


最新記事

すべて表示
私は・・・だ

マネーバイアス ピーター・カーニック 著 30番目の嘘 「お金は・・・だ」 ぼくらは、お金に何を託しているのだろうか。 1,お金に投影するということ たとえばぼくらはこんなふうに考える。 お金があれば、自由になれる。 お金があれば、安心できる。 お金があれば、自分の力を発揮できる。 お金があれば、人とつながれる。 お金があれば、社会を変えられる。 でも、それは本当か。 ここで問われているのは、自

 
 
 
余白と選択肢は本物か

マネーバイアス ピーター・カーニック 著 29番目の嘘 お金は重要ではないが、あると人生を楽にしてくれる 僕たちは、お金について、 「お金があれば自由になれる」 「お金があれば自立できる」 「お金があれば安心できる」 「お金があれば幸福になれる」 そんなふうに考えているところがある。 もちろん、お金があれば、生活上の不安が減ったり、できることが増えたりする。 だから、お金があることで人生が「楽にな

 
 
 
事実と真実

マネーバイアス ピーター・カーニック 著 28番目の嘘 問題もお金、解決もお金 本書には、次のような一節がある。 お金自体は決して問題ではありません。また、お金で問題を解決することはできません。私たちは何十年、あるいは何世紀にもわたる経験を経て、お金では問題を解決できないと学んできているはずです。 直感的に伝えている内容は正しいことは分かる。 ただもう少し具体的に考えてみたい。 お金があれば解決で

 
 
 

コメント


bottom of page