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執筆者の写真yamashina shigeru

インタラクティブ

人生を変える読書

人類三千年の叡智を力に変える

堀内勉 著

読了



まず、序章が素晴らしい。

著書が多くの本と出逢ってきたからという理由もあるのだろうが、本のはじまりの序章で、出し惜しみなく、思いを伝えてくれている。

そのおかげで、最後まで興味が途絶えることなく読むことができた。



私の肉体と精神は、インタラクティブなエコシステムを形成している。


コロナ禍の気づきが少し書かれてあった。

目には見えないが、ぼくらを覆う「空気」という存在がある。

そして、その「空気」があるおかげで、呼吸することができ、大気を形成し宇宙から人間を守ってくれている。生きることができている。


その「空気」を介して、世界中と繋がり合っている事実

それを頭の中の妄想なのではなく、現実の体験として気づかせてくれたのが、コロナだったんだと。


私たちの肉体は、約3か月で完全に入れ替わると言われている。

目も骨も心臓も脳も、3か月前のものとは違う物質で作られているのだ。

福岡伸一さんの「動的均衡」ということになる。

そう考えると、日々口から摂取する食事の大切さを想うことになる。


そう考えていくと、わたしの肉体、あなたの肉体、そこにある環境とインタラクティブなエコシステムを形成していることは、体験として理解できる。



では、精神はどうか。


精神も同様に、インタラクティブなエコシステムを形成し、自分の環境と相互に影響を与えながら熟成しているのだ。

 

目に映る情報、耳から聞こえる言葉、言葉にならない暗黙知、表情、そういった多くの情報に影響されつつ、精神は育まれている。


大切なことは「インタラクティブ(双方向)」だということ。


「誰と一緒に過ごすのか」それがその人の思考に大きな影響を与えると言われるのは、頷ける。


肉体も精神も、私と世界は双方向に影響を与え合う関係だということ。



そう考えていくと、読書は、とても崇高なことのように思えてくる。

特に「古典」と呼ばれる、数百年も読み継がれている本は。

 

今を生きている世界、今自分がアクセス可能な情報とインタラクティブな関係を育むだけではなく、数百年前の人が残した言葉、多くの人と多くの時間を費やした情報と、インタラクティブに影響し合えることの奇跡。


これは、ただインプットするだけではなく、自分が人と対話するときに生まれる言葉、SNSに投稿する文章に影響を与え、それがまた誰かに影響を及ぼしていく。

何か怖い気もするが、そうやって僕らは生きているのだろう。



なぜ、読書をするのか。


もうひとつがメタ認知だ。

読書をしていくと、その本がなぜ生まれたのか、著者はどういった本に影響されたのかが見えてくる。

すると、一冊の本は、すごく多くの本から誕生していることに気づくことになる。


つまり、読書を通して、自分が、人類が、どれほど何も分かっていない存在なのか、「無知の知」を知ることになるのだ。

それは謙虚になるということ。


謙虚になるにつれ、自分がこれまで当たり前だ思っていた常識に問いかける力を養うことができる。

自分がどういうシステムの中で生きているのか。

システムの中から考えるのではなく、システムの外から眺める力を養うことができる。

メタ認知だ。



自分は今どこに立っているのか。

自分はどう生きるのか。


すごく哲学的な問いになってしまうのだが、必ず向き合うことになる問いなのではないか。


フランクルの「夜と霧」の言葉が紹介されていた。


わたしたちが生きることからなにを期待するかではなく、むしろひたすら、生きることがわたしたちからなにを期待しているかが問題なのだ

「どう生きるべきか」と問うまでもなく、私たちは「生きている」ことは疑いようもない事実である。

つまり、「生きる」ということが、私たちに何を問いかけているのか

コペルニクス的な視点の逆転。


そういった、人間に生まれたからこそ、思考する答えのない問いと、メタ認知していく力。

幸せでありたいと思う心。

これも読書をする意味。


もし、今自分が属しているシステムを疑わず、順応し、幸せな人生を歩むのであれば、むしろ読書は危険なのかもしれない。



ど真ん中エディットワークの後半。

「私」から「私たち」へ、視点を広げていく。

ここで伝えたいメッセージは、まさに同じ。

 

自分の空間的、時間的、歴史的立ち位置、自分の外に広がっている世界をメタ認知してみる。

その上で、何が大切になるのかを考える。

「これだ」という答えがない問いでもあり、モヤモヤを抱えて生きることになる。

このモヤモヤを語り合える仲間があるといいな。







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