朝活大学素読会
所謂其の家を齊うるには、其の身を修むるに在りとは、人其の親愛する所に之いて辟す。
其の賤惡する所に之いて辟す。
其の畏敬する所に之いて辟す。
其の哀矜する所に之いて辟す。
其の敖惰する所に之いて辟す。
故に好みて其の惡しきを知り、惡みて其の美を知る者は、天下に鮮なし。
故に諺に之れ有り、曰わく、人は其の子の惡しきを知る莫く、其の苗の碩いなるを知る莫しと。
此を身修まらざれば、以って其の家を齊う可からずと謂う。
「自分の家をととのえるためには、まず自分の身を修めよ」とあるが、そのためにはどうすべきか。
家族の中である者を特別に親しみ愛することはしてはいけない。
家族の中である者を特別に卑しんだり憎んだりしてはいけない。 家族の中である者を特別に畏れ敬ったりしてはいけない。
家族の中である者を特別に哀れんだりしてもいけない
家族の中で、奢り怠けてもいけない。
自分の身が修まらないと、家はととのわない。
ここでいう家とは、今と違い、20人から50人ぐらいの集団で寝食を共にしていたファミリーのことだ。
そういった深い繋がりある集団の中で、特定の人に対して隔たった感情や態度をとると、正しい判断ができなくなるということだ。
自分の内面を向き合うところから始まり(格物、致知、誠意)、目の前の人との1対1との対話と心の在り方(正心)、1対多数の対話と心の在り方(修身)へと、視座が広がっていく。
しかし変わらないのは、目に見えない心のこだわりや隔たりを修めること。
天子自り以て庶人に至るまで、壹に是れ皆身を修むるを以て本と爲す。其の本亂れて末治まる者は否ず。
格物
致知
誠意
正心
修身
ここまでが、「本」だということ。
斉家
治国
平天下
が「末」ということになる。
「本」が乱れては、家も国も世界もおさまることはない、ということだ。
話は変わり、今「ファミリービジネス」が注目されている。
最近、耳にしたのは、海外では、ファミリービジネスが改めて注目を集めているということ。
そして、日本は、実はファミリービジネス大国であるということ。
にもかかわらず、日本はファミリービジネスにマイナスなイメージが強いということ。
今なぜファミリービジネスなのか。
特徴を上げると
・株主と経営者が共通しているので、経営判断が迅速であり、社会の変化に対応しやすい。
・短期の利益を重視するよりも、長期目線で、次世代につなげることが目標であること。
・金銭的価値で図ることのでない資産(人間関係、地域とのつながり)を長い時間をかけて蓄積していること。
・人を大切にする経営
もちろん、マイナスの特徴も同じようにあげることはできるのだが、上記のプラスの特徴があることで、環境に低負荷な持続可能な社会に向けた経営、危機を乗り切る経営、金銭的価値で計れない価値を再評価する経営を行うことができる。
そういった意味で、海外ではファミリービジネスに関心が高まっているようだ。
では、このファミリービジネスを支える土台は何かと考えたとき、「大学」にある修身と繋がるのではないか。
家とは20~50人ほどの集団だった。
つまり、家=ファミリービジネスをベースとして、それが繁栄することで国が治まることにつながり、ひいては世界平和につながるということ。
そのファミリービジネスの繁栄のベースが「修身」だということ。
もちろん、ファミリービジネスの問題点も多数ある。
・公私混同
・変容しにくい
・閉鎖的
・ファミリーとその他のスタッフとの格差
・後継者問題
この問題点を乗り越えるためにこそ、「修身」が大切になるようにさえ思う。
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