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執筆者の写真yamashina shigeru

ワークシート

更新日:2021年2月5日

先日、講師をさせていただいた「創業者りんり塾」で利用させていただいたワークシートに記入してみた。

 

このワークシートを利用して、自分自身の紹介をしてみたいと思う。


ぼくは、ヤマシナ印刷株式会社で働いている。父が社長で、役職は専務取締役であるが、経営というよりむしろ、DTPオペレーターである。もちろん取締役として、スタッフみんなのエンパワーメントを目指している。軽印刷というジャンルになるのだが、仕事の意味は、ただ印刷物を作ることが目的ではなく、「人と人をつなぐコミュニケーションツールの提供」だと理解している。だからこそ、人の想いに向き合うことは、大切な仕事だ。

また、家庭の中では4人の子どもたちの父親として、家族の愛を受け、そして与えるという大きな役割があると実感している。

 

なぜ、今の仕事に向き合うようになったかというと、もっとも大きいのは「血」だろう。

特に有名は観光地なのではないが、北陸の十字路として主要都市の交差地点となる小矢部市に生まれ、祖父の代より印刷業を営んでいる家で育った。ぼくが継げば、3代目ということになる。

幼少の頃より、働く父の姿を見て育ち、そこに尊敬と憧れがあった。

母は、常に目に見えない存在に対する畏敬の念を伝えてくれ、何か問題が起きれば、なりふり構わず子どものために命を懸ける強さを常に感じて育った。

この両親の姿に大きな影響を与えられた。


大学に進学したくらいから、やっと自分というものを表現できるようになる。

その成長過程で、「自分が選んだ人生を歩めているか」「世のため人のために正しい実践ができてるか」「ちゃんと責任を背負っているか」といった課題に何度もぶつかる経験をした。

ただ、やはりまだまだそこは経験不足。自分の道を歩むことと、家族と幸せに過ごすということのバランスのとり方が分からず、一番身近な存在である妻に多くの迷惑をかけた。

にもかかわらず、実家の会社の現状を知った時、ここで逃げることはできないと覚悟を決めることになる。

具体的な説明は省くが、幼少の頃の育ちの中で感じたキラキラ輝く生活の中に溶け込んだ仕事の現場が、時代遅れになり取り残された姿に変化したこと、そして父の一言、

「お客様がひとりでもいる限り、この仕事は続ける」

この言葉には、ぼくの心を揺さぶる十分すぎるほどの価値があった。

それが、今の仕事をしている理由だ。


この仕事に本気で向き合うことで、多くのニーズに気づくことができた。

まずは、この地域がこの地域であるための理由が内在している「暗黙知」と呼ばれる言語化できない習わしや個人の想いというものが、薄れていっていること。

また、何か始めたいと思っても、そもそもスタート地点に立つまでの準備をサポートするサービスが社会には、ほとんど存在しないこと。

そういったニーズに気づかせてもらえたのは、軽印刷は大規模は印刷会社と違い、個の小さな小さな思いをカタチにしていくお手伝いをすることが多いからだ。


また、仕事を通して、自分の中にある喜びに気づくことができた。

たとえば、相談相手が気づきもしない第3の答えを提案できたとき。これも軽印刷だからこそ、利益優先で物事を考えることをせず、相手に向き合うからできることだ。

また、人と人がつながる瞬間を生み出すこと。これもたまらなくワクワクする。


この今なすべき仕事に向き合うことで気づいたニーズとウォンツを組み合わすことで多くのプロジェクトを立ち上げることができた。

ひとつが、会社の2Fを利用したコワーキングスペースだ。人がリアルに集うことで、新しい繋がりを創出する。これこそ、軽印刷の大事な役割だ。

次が、北陸三県ありがとうプロジェクト。このプロジェクトのひとつに「おやべローカルかわら版」というものがある。リレー方式で地域の方を紹介していただき、取材して記事にする活動だ。そして必ず紹介者には、「ありがとう」の言葉を手書きで書いてもらう。

このありがとう集めを通した人物紹介で、多くの出逢いと地域に埋もれている価値を見つけることができた。

もうひとつが、駄菓子屋、養蜂部、修身を学ぶ会富山といったバラエティに富む活動だ。これらは、直接本業とは関りはないが、本業を通して気づいたニーズとウォンツに繋がる大切な活動だ。


これら多様な活動のさらに中心にある活動こそ、「ど真ん中名刺」だ。

仕事、社会貢献活動、趣味やワクワクすること。この3つを違うものだと捉えるのではなく、仕事であり社会貢献でありワクワクするという3つを重ね合わせたど真ん中を自分の仕事なんだと思える人を増やすこと。そして、その生き様を表現する名刺を作る活動だ。


この生き様こそ、子どもの頃から父親の背中から感じた生き様であり、時代遅れとなった会社に元気を与える希望の活動であり、自分自身が納得し理想と思う生き様だ。


これらの実践を常にぶれずに前進させていくために、座右の問いを持ち、悩んだときは常に自分に問いかけて答えを出すようにしている。

それが、「先義後利で判断しているか」「全力で軽印刷か」という2つの問いだ。

いつのまにか損得勘定で判断してはいないか、また軽印刷だからこそ応援できるサービスがあるにも関わらず、規模や影響力といった見た目の価値観に惑わされていないか。そこを常に問いかけている。


また、「思いもよらない答えを見つけ総合判断できる人になる」という志を抱き、なすべき実践の原動力としている。この志は、小学生低学年の時からの変わらない志だ。

最近、もうひとつ志と呼べるような目指す生き方が見つかった。

「自分に起こることをすべて受け入れ、相手を信じ切ることのできる人間になる」

これは、家族の愛に触れることで生まれた。家族を通して、多くの学びを頂いている。

この「座右の問い」と「志」を胸に、実践を繰り返していこうと思う。

 

さらに、もう一言加えるのであれば、自分の命の寿命に関係なく、50年先、100年先になるかもしれないが実現したい大志だ。


「誰もがど真ん中を生きることが当たり前となる社会の実現」


なぜ今できないかというと、一番大きなボトルネックは貨幣経済への依存なのだろう。もし、お金を稼がなけれな生きていけないという価値観が崩壊したとき、人はどう生きるか。

ど真ん中を生きるだろう。


もしそれが実現するのなら、2つの大きな変化が生まれるのではないか。

ひとつは「老後」という言葉の死語化だ。老後は、仕事をリタイアした後の人生を指す言葉だ。しかし、ど真ん中を仕事とする人にとって、仕事をリタイアするという感覚はなくなるはずだ。自分の価値を提供し、社会に喜ばれ、自分もワクワクする。それが仕事なのであれば、人からやめろと言われても続けたいと思うはずだ。生涯、ど真ん中を仕事として生き切る。それが当然と思える社会になればいいなと思う。

また、ど真ん中を生きる者同士が連携しあうことで、そのコミュニティこそ貨幣価値では計ることができない生きる上での大切なセーフティネットとなるはずだ。そういったコミュニティが多層的に生まれ、社会を作り上げていく。

それが大志だ。


そのためにも、自分が稼いだお金と有限な命の時間は、ど真ん中を生きる仲間と自分の姿を見て成長する子供たちに投資していきたい。

 

この大志が、いずれカタチになったとき、それが次に生まれるこどもたちに影響を与え、血育ち教えになっていく。その大いなる循環を心に抱きながら生きたい。

 

さらに、今語った実践、ど真ん中、志、大志は、俯瞰して考えることで、自分が関わる業界や、地域や、日本にとっても重要な役目と未来につながる。


軽印刷の業界としては、志を抱いた人がスタートラインに立つまでの準備期間を伴走してあげる役割、これは利益優先で考えるとビジネスになり難いステージだが、そこに軽印刷業界の使命があるということ。また軽印刷業は家内制手工業が中心であるが、敢えて家内制手工業という立場にとどまり、ここに評価経済の世界をプラスし新しい家内制手工業2.0といった仕組みを構築していきたい。実は、それこそ個の時代の次のカタチなのではと思っている。社内でお味噌汁を飲めるようにしようと思い、1日で実現できてしまうのも家内制手工業だからこそだ。


地域では、富山にかかわらず地方にとっての地域課題の根っこにあるのは、「暗黙知」と「開示知」の認識のズレにあるように感じている。そう捉えると、「暗黙知」を大切に扱う軽印刷は、大きな社会的役割がある。また、富山県がもう一歩成長するためには「志の地産地消」が重要だろうと認識している。自然、食、エネルギーが豊かな富山にとって、今一歩必要なのが志を抱く仲間を地域で応援できる環境なのではないか。それを可能にしていくために、軽印刷は、小さな最初の一歩を応援するサービスを安価にスピーディーに提供できるスキルを持っている。


日本に至っては、これから10年、20年で大きな社会変容が起こるだろう。そのとき世の中が混乱する中、これまで培ってきた軽印刷としての人脈と暗黙知が、社会変容を支える力になるのではないか。この地域にどんな思いのある人がいるのか、どんな活動が芽生えているのか、何を大切にしている価値がこの地域にあるのかー。この時にこそ、養蜂のような一次産業に関わるお手伝いをしてきたことが役に立つと思っている。

さらに、家内制手工業2.0といった、新しいモノづくりのカタチを提案していくことで、東洋の価値と西洋の価値を融合させる働き方というものを作り上げることができるのではないか。信頼、共有、家族的、クラフト、心、中庸、そういったキーワードとDX時代がうまく融合していく。ど真ん中を生きる仲間同士のコミュニティもそのひとつのカタチになっていくように思う。

 

これが、今ぼくが思い描く世界だ。




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