自分を発掘し合える対話づくり Vol2
国際コーチング連盟認定コーチの横山純子さん。
大学院で考古学を専攻し、発掘の現場監督としてマネジメントを学ぶ。
その後、結婚し息子たちが少年野球チームで、大人がダメ出しでやる気を失わせている状況に何とかしたいとコーチングに出逢う。
自分を発掘し合える対話づくり
coaching lab Tranquilla
ど真ん中名刺を作る前の対話。
前回からのつづき。
自分のやるべきことに向き合うことで、気づいた社会課題は何か。
どういう人たちを幸せにしたという気持ちが生まれたのか。
まず、コーチングを学ぼうとおもったきっかけが、子どもが野球始めて、自分の関わり方もひどかったのですが、野球の指導者の子ども達への関わり方がひどいなと思ったこと。
子どもって表面上やる気ないように見えたとしても、やる気を持てない本当の原因が後ろにあったり、自分がチャレンジしていいと思えていないとか、表には出ていない気持ちがある。
そんな子ども達の話をじっくり聞いてあげると、本当は好きで始めた野球のはずなのに、自分にはできないと思っているのは、できるという感覚をもてたことがない、できる人として扱ってもらえていないなど、いろんな思いがある。
ちゃんと聴く人が聴けば話してくれて、話したことによって、「なんか自分でもがんばっていいのかな」と思えることが、チャレンジする勇気に繋がっていく。
にもかかわらず、世の大人たちは、こんなにも子どもの話を聞いていないのかと。
これが気づいた課題。
最初は、子どものことを考えていたのだが、周りを見渡せば、同年代の男性たちは組織の中で話や想いを聞いてもらえていないことに気づく。
そういったことが世の中にあまりにも多すぎるなと。
あと、病気から社会復帰するために頑張ろうとするとき、一人で頑張るのはすごく大変。
そういうときに、話を聞いてもらえたりするとちょっと楽になるはず。
話を聞いてもらえること。
自分には、話を聴いてもらえる価値がある。
自分は、自分の考えをもっていい。
自由に考えるということをできない人がいっぱいいる。
それは、決してその人が悪いのではなく、環境に左右されている場合が多い。
もし、傍に話を聴いてくれる人がいたり、質問や問いかけをうけて、今見えている以外のところまで視野が広がればもっと身軽になれるはず。
つまり、ある特定の人や情況に対して課題を感じているというより、社会全体として話を聞くという文化が足りていないのでは。
今そうなっている原因はどこにあるのだろうか。
たぶん、歴史を振り返った時に、今まで日本の社会の中で、誰もがきちんと存在を肯定してもらえる関わり方をしてきた社会は、弥生時代以降はないように思える。
弥生時代以降、階層社会であったということは、人は平等ではないから。
同様なことを株式会社コテン代表の深井さんがラジオで語っていた。
人類の歴史上、性別、年齢、場所に制限されず、自由に自分の才能を活かすことのできる職能を選択できる時代は、今までなかった。それがやっと実現しつつある。
この「才能を活かす」ことと、「聴く価値を高める」ことは、繋がっているのでは。
聴く文化が広まれば、本当の自分の強みや、本当の自分の活かし方を知ることに繋がるはずだ。
17世紀の哲学者スピノザが、「自由」について語っているそうだ。
自由とは、何も制限されないことが自由ではなく、本来のそのモノや人の本質を活かすことが自由である。 これは赤ちゃんが自分の身体の使い方を徐々に覚え、自在に手足を動かせるようになることに似ている。 それが自由になることだ。
このスピノザの考えに、すごく共感している。
本来の自分を偽っているというか、社会的な前提に従って自由に動けていない人がいっぱいいるが、自分の本当の気持ちや考え、しっくりくることを知ることで変えていけるのではないか。
そういう生き方をできることが、その人の幸せだと思っていて、それを見つけてほしい。
その見つけるための方法はいっぱいあるけど、その一つとして「人に話す」「話を聴く」がある。
つづく。
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