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抱きしめてくれるおじいちゃんおばあちゃん

2025年7月1日
読了時間: 4分

マネーバイアス

ピーター・カーニック 著


4番目の嘘

幸せになるには、最低限のお金が必要だ



前半では、「ピーターの法則」と「バーの法則」の紹介がある。


ピーターの法則とは

①ピラミッド型の組織では、優秀な人は昇進する。

②その人が新しいポジションでも能力を発揮できれば、さらに昇進する。

③やがて、「自分の能力を超えたポジション」に到達してしまう。

④すると仕事をうまくこなせなくなり、その地位にとどまったまま「無能な管理職」になる。

⑤結果的に、人も組織も機能不全を起こすことになる。



バーの法則とは

人は幸せになれる金額として設定した目標のレベルに達すると、目標金額が2倍になる。

つまり、どこまでいっても満たされることはないということだ。



この2つの法則は、両方とも問題があるのだが、もっと重要なのは、2つの法則が組み合わさってしまうということだろう。


優秀な人は当然のように昇進を目指す。

それは、周りも応援することだし、昇進するための勉強にもコストをかけるだろう。

そして、ひとつずつ昇進していく。

昇進したポジションで活躍しようとすると、もっと勉強が必要だ。

勉強以外にもポジションに見合ったコストが必要になる。

もちろん、給料は上がるのだが…、幸せになれる金額は倍になっていく。

それを続けると、自分に見合わない能力が要求されるポストまで昇進する。

しかし、その時点で、幸せになれる金額は倍々ゲームで大きくなっている。

無能な状態になりながら、幸せになるための最低限の金額は多く膨らんでいる。

その状態で、果たしてひとつ階段を下りることは可能なのだろうか。


これは、スポーツの世界だとよく理解できる。

プロアマ問わず、常にレギュラーで活躍していたチームから、自分の能力を超えたチームに所属した瞬間、無能な選手だと評価されてしまう。

それに耐えかね、レベルの低いチームに移ることができればいいが、それはプライドが許さない。結果的に大好きだから始めたスポーツが嫌いになり、辞めてしまう。

アマチュアであれば、ここにお金が関与しないので、少しはマシだが。


そう思うと、キングカズのすばらしさを感じる。



後半は、銀行マンが貧困をなくそうと志し、インドの最貧村を訪ねる話だ。


住民18人しかいない荒れ果てた村。

そこに住む、家には何もない、何も持ってない女性の家を訪ね、対話するエピソードだ。


彼女が銀行マンに「何か食べますか?」と一度家の外にでて、戻ってくる。

手には、小さな手作りケーキと貴重な保存食。

それを「こんなにたくさんあるわよ」と言わんばかりに銀行マンをもてなす。


銀行マンは、その行為に心を打たれ、「私に何かできることはありませんか」と問う。

彼女は「友よ、あなたに何ができるというの、この恐ろしい果ての世界で」と。



このエピソードをもう一歩深めると。

小さな手作りケーキや貴重な保存食は、一体どこにあったのか?

お金で購入したわけではないだろう。

彼女は家の外に出て住民に「大切な友人が遊びにきている、何か食べ物を分けてほしい」と声をかけたのだろう。

すると、みんなギリギリの生活をしているにも関わらず、喜んで大切な食を提供してくれたに違いない。


その村には、そういった関係性が残っていた。

分け合う文化、訪ねてきた方を友として接する心。


そして、この場所は厳しい場所だと理解している彼女から見た銀行マンは、生命力の弱い、人とのつながりを失った存在に見えたのではないか。

もしかすると、彼女が銀行マンを助けようとしたのかもしれない。

 

そういった逆転劇が繰り広げられていたのかもしれないと思うと、一体どちらが幸せなのだろうかと。



果たしてぼくらの社会に、都会に住む人とこの村の住民のどちらが幸せなのを測れるモノサシをもっているだろうか。

どちらが幸せかということが重要というより、多角的に考えるための視点が足りていないのかもしれない。




最後の言葉がすごく印象的だ。


イタリアの子供たちは、教育水準はヨーロッパで最下位だが、幸福度は最高位らしい。

その豊さの秘密とは


「ノンニコッコラティ(抱きしめてくれるおじいちゃんおばあちゃん)」




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