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執筆者の写真yamashina shigeru

日常に入り込む難しさ

コミュニティナース

まちを元気にする「おせっかい」焼きの看護師

矢田明子 著

読了



コテンラジオで、矢田さんのお話を聞いてから大ファンになりました。

人との関わり方のスタンスを変える。

そんな簡単なことではないのだけど、人との接点や視点をちょっとズラすだけで、地域に大きな価値を生み出すことができる。

どんな業界にも当てはまることであり、かつ、軽印刷の業界にとってもすごく重要な指摘でした。

 

この本は2019年発刊なので、コテンラジオの内容よりも少し前、コミュニティナースを立ち上げた当初の活動を中心に書かれていました。

 


ど真ん中名刺の考えとすごく似ている点もありました。


自分の情熱、関心が向く実践計画を立てる。

その上で、地域や社会で求められることは何かを考え、重ね合わせていく。

そして、必要だと思う仕組みを、自分たちでつくっていく。


そういった内容が何度も本書にでてきます。

またコミュニティナースプロジェクトは、看護師であることが受講の基本条件だったようです。




これは、まさにど真ん中名刺をつくる上で考える「ど真ん中を生きる」ことと、ほとんど同じ視点です。


自ら選んだ道、自分のなすべきこと(must/コミュニティナースの場合は看護師)に本気で向き合う

すると、向き合ったからこそ見えてくる新しい世界がある。


「世の中にはこんなことで悩んでいる人がいるんだ」

「私は、こんな人を幸せにしてあげたい」

このneedsは、mustに真剣に向き合ったからこそ生まれた出逢いだ。


また、mustに向き合うことで、自分の内側にある情熱・ワクワク・関心(wants)にも出逢うことになるだろう。

「私の内側に、これほど燃え上がる情熱があったんだ!」と。


であれば、重ね合わせていく。

must×needs×wantsにあるものは、一体なんだろうかと。

それがど真ん中であり、ど真ん中を生きるということ。



ただ、いきなりmust×needs×wantsが発見できないかもしれない。

しかし、確かなことは、実践すべきことがあるということだ。


それは

must×needs

must×wants

needs×wants

この3つの実践である。


この3つなら、容易に即実践できるアイデアが思い浮かぶはずだ。

それが何かを言語化して実践していく。


これが、「ど真ん中エディットワーク」で行う内容だ。



この内容と全く同じだなと、勝手(笑)に共感しまくって読ませていただきました。


看護師というキャリアの中で感じた情熱・関心と、社会が求められることを重ね合わせていく。



では、コミュニティナースの活動は、看護師でないとできないのか。

実はそうではない。


スタートラインは、あくまでもmust(コミュニティナースであれば看護師)なのだが、mustを「看護師」「教師」といった職業名にしてしまうと、その職業名の「言葉」の呪術に縛られてしまう

言葉の束縛から開放するには、「仕事の本当の意味は何か」を考えていくことになるのだろう。

すると、「看護師」でなければならないという固定概念すら開放することができる。

軽印刷のお客様窓口係は、コミュニティナースになれるということだ。

 

本書には「実践」という言葉を常に使われていたことも共感した。




さて、もうひとつ、すごくタイムリーだなって思った言葉に出逢った。


文化をつくるというアプローチ

これだ。


文化は子どものときにしか伝え残すことができないもの

そういった言葉を聞き、いろいろ考えていたからだ。


日本にあった、地方になった、地域にあった独特の文化がなくなっていく。

じゃあ復興すればいいじゃないかと多くの地域で議論されていると思うが、文化の特徴が上記のとおりであるならば、地域に住む子どもたちの日常に入り込み、常に関われる距離感の中で、新しい当たり前、新しい日常を自然に伝えていかなければならない

これは、人と時間と情熱がすごくいる。

イベントやアーカイブを残す活動をしても、それは文化を復興することにはならない。


しかし、矢田さんは、これを前向きにとらえている。

新たに文化を構築し直すところから考える。

遠く長い道のりになるのかもしれないが、それが一番の道だと考えているのではないか。

 

自分の命の尺度を超えた、大志を抱く。



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