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執筆者の写真yamashina shigeru

仁人であること

朝活大学素読会


秦誓に曰わく、

若し一个の臣有らんに、斷斷として他技無く、其の心休休として、其れ容るる有るが如し。

人の技有る、己之れ有るが若く、人の彦聖なる其の心之を好みし、

啻に其の口より出ずるが如きのみならず、寔に能く之を容る。

以て能く我が子孫黎民を保んぜん。尚わくば亦利あらん哉。

人の技有る、媢疾して以て之を惡み、人の彦聖なる、之に違いて通ぜざら俾む。

寔に容るる能わず。以て我が子孫黎民を保んずる能わず。亦曰に殆い哉と。

唯仁人之を放流し、諸を四夷に逬けて、與に中國を同じうぜず。

此を唯仁人能く人を愛し、能く人を惡むを為すと謂う。



簡単に訳すと

秦の君子が、ある判断ミスを犯し、国家に大きな損害を与えてしまった。

それを深く反省し、国民に、今後このようなことがないように誓いを立てる。

それが「秦誓に曰わく」だ。


では、どういった誓いか。


ここに一人の重臣がいる。

彼は、特別な才能があるわけではないが、心がおおらかで、すべてを包み込むような人物だ。

彼は、優れた才能のある人物に会うと、自分のことのように喜ぶ。

これは単に口先だけで褒めるのではなく、心からそう思う。

そんな彼のような人物がいると、この国の将来は繁栄するだろう。

それとは逆に、人の才能を妬むような人物がいると、国は繁栄しない。


本当の仁者とは、他人の才能を妬むような人物を思い切って、国から追放する選択のできる人物だ。

仁人のみがよく人を愛し、よく人を悪むを為すという。




この最後の一文をどう理解するのか。

これがテーマのように思う。


これに近い内容が「ソース原理」の勉強会でも語られる。

ソースの大切な役割は何か。

それは、ソースが生み出したクリエイティブ・フィールドの境界線を守ることだ。



論語では、

知者と仁者と勇者の3人がでてくる章句がある。


知者は惑わず

仁者は憂えず

勇者は懼れず




秦の君子は、国民に対して何を伝えたかったのか。


才能があることはすばらしいことであり、才能を活かすことができる役を与えていきたい。

しかし、どんなに才能があっても、他人の才能を妬むような人物であれば、その組織は発展しなくなる。

大切なのは、お互いの才能を認め、受け入れていく文化をつくることだ。

そういった文化があることで、組織は発展する。


そのために、もし違う文化を組織内に広めるような人物がいるのなら、厳しく処分をしていく覚悟だ。


また、そういった厳しい判断を下すことで、メンバーがリーダーを恐れるような組織にもしたくない。

そのために、リーダーは、勇者ではなく、知者でもなく、仁者となり、「あなたの判断なのであれば受け入れる」と、メンバーから理解してもらえるようなリーダーに成長するつもりだ。


そういった覚悟を誓ったのではないか。



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