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執筆者の写真yamashina shigeru

発散と収束

グレートジャーニーな名刺づくり VOL3(動画はVOL8)



NPO法人PCTOOL、代表理事の能登貴史さんとのど真ん中名刺づくり。

コロナ禍に、ど真ん中エディットワークをオンラインで広げる方法の練習に参加いただいたり、10年以上前から、いろんな方面でサポートしていただいた大恩人。

そんな能登さんとのど真ん中名刺づくり動画です。

前回からのつづきです。


▼NPO法人PCTOOL


▼市民活動サポートセンターとやま


前回までは、能登さんの活動の軸となっている「PCTOOL」のロゴの製作。

ロゴに付随する言葉「during the dialogue」「対話」について語っていました。



(山科)

日本語の特徴のひとつとして、会話の中で主語がないこと。

ぽっと空間に「お腹空いた」というような言葉を投げかける。


本来は、誰に何を伝えるかということがコミュニケーションでは大事なはず。

それなのに、日本語のコミュニケーションでは、空間に言葉を投げ、その投げた言葉を誰かが拾い、そこに新たな意味を加えて言葉を返す。

さらに、最初に言葉を投げた人も、帰ってきた言葉に違う意味が加味されていたとしても、それ自体を楽しもうとする感覚がある。

そこにある曖昧さを許容するコミュニケーション

だからこそ、日本人は英語をマスターすることが難しかったり、論文のような文章が苦手だったりする。



(能登)

日本語の独自の言語体系は特殊だ。

その中で対話を積み上げながら進化してきたのではないか。


人間の中で非言語な領域をいかに言語化して伝えていくか。

それが宗教であり哲学であろう。



(山科)

世の中には、非言語な領域は言葉にはできないと割り切っているパターンと、何とかして言語化しようと試みるパターンに分かれるのではないか。


たとえば、剣道、柔道、華道という「道」は、非言語な領域を言語化することは限界があるので、「型」を学ぶというところから入り、「型」を通じて非言語な領域を伝えようと試みている。

型を通じて身体感覚からアプローチしようとしているのだと思う。

だからこそ、師弟関係が大切になってくる。


または、限界があることを知りつつ、それでも人間の可能性を信じ、言葉を尽くすことを諦めない。


この2パターンになるのではないか。



(能登)

この2パターンは、別々なものではなく、そこに人類の進化のエッセンスがあるのではないか。


たとえばピカソの絵のすばらしさを言語化しようとする。

もし満足のいく言語化ができたとしても、それは、その人にとってのピカソの絵を表現した言葉にすぎない。


でも、複数人で感覚の言語化を試み、その違いをお互いが交換することで、はじめてそこに進化が現れるのだと思う。

自分の外の世界に、イメージを出すときに言語化するしか方法がない。

または言語化することが最高だということが、僕の中の結論です。



(山科)

言語化することに対して、人間の性(さが)があるなと思っている。

つまり、言語化することは、物事を分けることになる。

言葉を尽くせば尽くすほど、差別を増やすことになる。


言葉の成り立ちを考えると、「A」と「Aじゃないもの」を区別したいという欲求の中で言葉が生まれ、人間は物事を理解しようとする。


つまり、言葉を尽くす、イコール、分け隔てていく社会を創っていくとも言えるはず。



(能登)

それを矛盾だと捉えるか、進化と捉えるか。


ぼくは人類の進化は、「発散」と「収束」だと思っている。

発散するときは、非言語化のことも含めて広げる。

しかし、次に進むときには、一度収束しなければならない。


感覚や感情で広がったことを言語化することで収束する。

そしてまた発散していく。


つまり、言語化することがいいのか悪いのかということではなく、自分の中でうなりながら絞り出した言葉、その言葉から生まれる感覚や感情。

その感覚や感情を表現する言葉…。

この繰り返し、言葉と感覚のギャップが人類の進化を促進させるのではないか。



(山科)

話を戻すと、PCTOOLの役割は何か

発散を担う団体なのか

収束を担う団体なのか。

それとも2つを繰り返す全体を担う団体なのか。

または、別の役割なのか。



(能登)

PCTOOLで最近使うキャッチフレーズは「あなたのそばに」。

PCTOOLは、パーソナルコミュニケーションを促進したいという団体です。

そのツールであるPCは難しいので、「あなたの傍に寄り添いますよ」というニュアンスです。

安心な場をつくる。


PCTOOLは、真ん中ではないのか?



つづく

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