私は・・・だ
マネーバイアス
ピーター・カーニック 著
30番目の嘘
「お金は・・・だ」
ぼくらは、お金に何を託しているのだろうか。
1,お金に投影するということ
たとえばぼくらはこんなふうに考える。
お金があれば、自由になれる。
お金があれば、安心できる。
お金があれば、自分の力を発揮できる。
お金があれば、人とつながれる。
お金があれば、社会を変えられる。
でも、それは本当か。
ここで問われているのは、自由や安心や力やつながりを、お金の側に置いてしまっていないかということ。
お金が自由を生み出すと信じると、ぼくらは、自分の中にある自由を見失ってしまう。
お金があれば人とつながれると信じると、自分自身が人とつながる力を持っていることを忘れてしまう。
そして、いつしか「お金がないから自由ではない」「お金がないから何もできない」という認識が、現実そのものになっていく。
最初は自分の思い込みだったはずなのに、それを繰り返し信じ、行動することで、思い込みが日常の中で強化されていく。
やがて、自分が何かを投影したことさえ忘れてしまう。
2,「お金は……だ」を「私は……だ」に変える
自分がお金に投影していたこと。
それは本来自分の中にあること。
それを思い出すきかっけが、言い換えだ。
たとえば。
お金は自由だ → 私は自由だ
その言葉を口にしたとき、身体や心にどんな感覚が生まれるだろう。
お金は力だ → 私は力だ
自分の中に、すでにある力を感じられるだろうか。
お金はつながりだ → 私はつながりだ
自分と他者、世界とのつながりを、どこかに置き忘れていないだろうか。
言い換えて口にすることで、違和感や不安、抵抗が生まれることもある。
その感覚こそが、自分がお金に何を託してきたのかを教えてくれる呼び水となる。
だからこそ、言い換えたときに自分の内側で何が起こるのかを大切になる。
話は脱線するが、この感覚に耳を澄ますことこそ、今すごく求められていることのように思う。
3,個人の思い込みが、組織や社会にまで広がる
この投影の問題は、個人の内面だけではない。
社会が「お金こそが力だ」と信じているとしたら。
組織が「資金がなければ何も始められない」と信じているとしたら。
国が「経済成長こそが豊かさだ」と信じているとしたら。
その信念を前提に、制度や仕組みや意思決定がつくられていく。
お金を持っている人に力があると見なし、お金を持っていない人には力がないと見なす。
資金があるから実行できると考え、資金がないから不可能だと判断する。
こうして、お金に投影した役割が、社会の仕組みそのものを通して強化されていく。
個人の思い込みが社会の常識になり、その常識がまた個人の思い込みを強化する。
これはとても恐ろしいことだ。
そして、この循環を断ち切るにはどうすればいいのだろう。
「そもそも、ぼくらはなぜ、それをお金に求めているのだろう」
自由をお金に求めるのは、自由を自分の外側に置いているからではないか。
安心をお金に求めるのは、安心を自分の外側に置いているからではないか。
自分の価値をお金に求めるのは、自分の価値を自分で感じられなくなっているからではないか。
もちろん、お金には現実的な役割があります。
食べ物を買うことも、住む場所を確保することも、事業を始めることも、お金によって可能になる部分があります。
だからこそ、ここで問われているのは、お金にできることと、自分自身が本来担うべきことを、もう一度考えること。
お金に預けていた役割を、自分に取り戻すこと。
自分自身がソースとなって生きること。
では、ぼくの「お金は・・・だ」にどんな答えが浮かんだのか羅列してみたい。
・お金とは感情を確認するものだ。
・お金とは感情を揺さぶるものだ。
・お金とは「必要なものだ」と強引にメッセージを与えるものだ。
・お金は人に従うものであるべきだ。
・お金は善意にブレーキをかけるものだ。
・お金は思いやりの感情を抑えるものだ。
・お金は勝者の欲を強化するものだ。
・お金は本当の自分を遠ざけるものだ。
これを「私は・・・だ」に言い換えると、
・私は、感情を確認するものだ。
・私は、感情を揺さぶるものだ。
・私は、「必要なものだ」と強引にメッセージを与えるものだ。
・私は、人に従うものであるべきだ。
・私は、善意にブレーキをかけるものだ。
・私は、思いやりの感情を抑えるものだ。
・私は、勝者の欲を強化するものだ。
・私は、本当の自分を遠ざけるものだ。
この中で、口にしたとき、違和感や抵抗を強く感じるのは、
・私は、人に従うものであるべきだ。
・私は、思いやりの感情を抑えるものだ。
・私は、本当の自分を遠ざけるものだ。
どれも、心の奥深くでは、違和感を感じるが、間違っていないという、確かにその通りだという声が、ゆっくりと大きくなっていく。
自分から離れていると思い込んでいる力を、取り戻していきたい。

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