已んぬるかな、 吾未だ能く其の過ちを見て、 内に自ら訟(せ)むる者を見ざるなり。
ああ、もうだめだ。
しかたがないなあ。
自分の過ちに気づいて、自分を心の奥から責め、反省する者を、私はまだ見たことがない。
(「実践・論語塾」安岡定子著)
ど真ん中名刺のワークショップでは、参加者の約半数が名刺を完成させることができる。
名刺が完成するまでの行程を一緒に歩むことは、とても充実した日々である。
その自分にとっての成功体験の裏には、同じ数の失敗体験が実はある。
つまり、名刺を完成した人と同じ人数が、途中で名刺の完成を断念しているのだ。
その失敗体験にスポットが当たることは、ほとんどない。
なぜ名刺をつくることをしなかったのか。
そこに、自分の落ち度はなかったか。
説明不足や誤解を招く行為はなかったか。
作れないのは相手に問題があると、相手の責任にしていないか。
「今作るタイミングじゃなかったのかな」
と行儀のいい言い訳で自分をごまかしていないか。
成功体験の裏には、必ず無数の失敗体験がある。
それを慮ること。
仮説を立て、考えること。
これは「仁」にも通じる。
言葉や行為に現れない見えない部分からのメッセージを受取ること。
自ら省みるとは、現実的な失敗ではなく、目の前には表れてない失敗と、心を向き合えるかどうか。
そこなのだろう。
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