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2つでひとつ

資本主義と、生きていく。

品川皓亮 著



内容はわかりやすく、申し分なく、最高でした。

ぜひ多くの方に読んでもらいたい、そう思える一冊です。


その中でも、一番興味深かったのは、品川さんの「ものの見方」でした。

表紙にある言葉――「構造的しんどさ」の正体。


「しんどい」

「もやもやする」

「悩む」


そういった言葉を聞くと、どうしてもその感情を生み出している“ネガティブな原因”を探そうとします。

そして、その原因の姿が見えてくると、「あ、これがしんどさの正体だったのか」と、少し気持ちが落ち着く。


本書もきっと、自分たちをしんどくさせているネガティブな原因を明らかにしてくれる本なのだろう、そんなふうに思っていた。

でも、少し違っていた。

もっと哲学的、というべきか。


「なぜ、しんどいと思うのか」

その問いそのものを見つめる本だった。


たとえば、「お金がすべてだ!」と100%思っている人と、「お金がすべてだ!」と90%思っていて、残りの10%ではそうでもないと感じている人がいるとする。

どちらが「しんどい」かといえば、後者なのではないか。


つまり、多くの場合、「しんどさ」の裏には、光と影の両面があり、その間にある葛藤が「しんどさ」を生み出している。

そう考えると、光と影、その両方を見ていかなくてはならなくなる。


そして、その光と影を生み出している歴史的な流れと、その構造が資本主義に巧みに取り込まれ、切り離せない状態になっている。

この歴史と資本主義の構造を理解することで、「しんどさ」を理解していこう、それが本書の試みでした。


せっかくなので、本書の内容を少し紹介すると――


① 時間

「自然と一体になった循環的な時間感覚」と、「近代的な時間支配に基づく時間感覚」との引き裂かれから、「時間」という追手が生まれる。


② 成長

「生き残るために進歩せよ」という社会的な圧力と、「ありのままの自分の生をまっとうしたい」という本能的欲求との間で引き裂かれた心の叫びが、「成長」という追手を生む。


③ 数字

「すべてを数字で測ろうとする世界」と、「それに抵抗したい心」との間で私たちは引き裂かれ、「数字」という追手に追いつめられる。


そして、

④ 労働

⑤ お金

⑥ 消費

についても、同様に解説されています。


構造として説明されると、とてもわかりやすい。

つい私たちは「二つの面がある」ということを見失ってしまう。

そこに気づかせてくれたのが、本書の大きな価値だったように思う。



「構造を理解しよう」と思わなければ、なかなか気づけない盲点。


よく「無意識の意識化」が大切だと言われます。


そのとき、歴史のような“人文知”がとても重要なのだと感じた。


そこから構造理解が進み、全体像が見えてきて、ようやく光の部分と闇の部分が、どこでぶつかり合い、ストレスを生じさせているのかが見えてくる


そして重要なのは、構造が理解できてくると、はじめて「自分として選択できる」ようになること。


では、自分は何を選ぶのか。





6つの追手から、どう距離を置くのか。

本当の自分に立ち、選択していく。


本書の最後にあった言葉が印象的でした。


「物語が面白くなるのは、主人公が読み手の予想できない行動をとるとき」


本当の自分として、反応ではなく「選択」をして生きる。

社会の“バグ”となるような生き方こそ、次世代への布石であり、ときに捨て石にもなる。

そんなメッセージを受け取りました。



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