万人幸福の栞より
人かと思えば神、神かと思えば人、神人一致である。ここに人が顕界の主となる意義が成り立つ。 人は生命を神にうけているが、一度生まれれば、各々の自性をうけて自由となる。この自由は、舞台における俳優の自由である。 人生は演劇である。その大演劇の主役は、己自身である。
こうある。
なかなか難解な文だ。これが万人幸福の栞の最後の章となる。
そして、この章にも大いなる落とし穴が隠されている。
人と神は同一である。
ならばこそ、この世は己が主役であり、公平無私であり、真理を守り、精いっぱい満喫しようではないかという内容だ。
ここでは「神」という言葉が多用されている。
神とは何か?
①人知を超えた絶対的存在
②自然界の万物を擬人化した存在
③神社に祭られている生前優れた業績で名を馳せた人物や祖先
④天皇への尊称
⑤優れた能力を発揮する人物
辞書ではいろいろ説明はされているが、ここでは①の意味として使われているのだろう。
ここから個人的な考察となる。
神という言葉を使うかどうかではなく、人はなぜ人知を超えた絶対的存在を信じ、畏れ、崇めるようになるのか。これは2つの問いが繋がりあっているからではないか。
つまり
「神とは何か?」
「自分(心、魂)とは何か?」
この2つだ。
神という言葉を一度置いておくとして、人は成長の過程で必ずや心ってなんだろう、自分って何だろう、魂はどこにあるんだろう、そんな素朴な疑問に向き合うことになるのではないか。
けれでも、それに正解はない、誰にも分からない。
しかし、確かにある。自分は存在しているのだから。
人は、答えのないもの、理解できないもの、見えないもの、そして闇を理由なく恐れる。それは生き物としての防衛機能なのかもしれない。
その人知では計りえない存在の発見から、神というものが生まれてきたのかもしれない。
そう考えれば、人と神はひとつである。
そして、神とは何かを考えるということは、自分とは何かを考えることと同じだということだ。
であればこそ、自分とは何か分からないのに、果たして「自分は自分を生きているだろうか?」「自分は人生の主役であるのか?」
実社会では、誰もがここに興味を抱くはずだ。
さあ、ここでトラップが待ち受ける。
神とは何か、の問いの正しい答えはたぶん存在せず、「信じる」しかない。
人が神を理解するなど到底できない。人知を超えた存在を神と呼んでいるのだから、そもそも定義上、理解できるわけがない。理解できたら、それは神ではないのだから。
しかし、理解はできないが事実として存在するのであれば、信じればいい、それだけだ。という話だ。
同様に、自分とは何か、自分を生きているか、という問いの正しい答えなど、これも存在しない。なぜなら、神とは何かという問いと自分とは何かという問いは、根底では同じことを問うているのだから。
じゃあどうするって話ですよ。
賢者は、誰もが主役であり、自分を生きろという。
しかし、自分とは何かという答えはないのだ。
答えがないのに、自分を生きろってどうするのってことだ。
実はそのヒントは、前回の章に書かれていた。
自己を完成させるということは、身をささげきるということだと。
今自分がなすべきことに没頭すること、その先に道は開かれる。
人はひとりでは成立できない。
人と人が関り、「間」が生まれて、人間となる。
人との関係性の中で、「心」があり「自分」が存在しているのだ。
自分が主役を演じるということと、自分が今なすべきことに誠を尽くす、身を捧げ切るという、一見矛盾とも思える2つの視点を、ひとつの物語として生きることができるか。
この問いかけに気づけるか。
そこを最後に問うてきているのだ。
これは、まさにど真ん中名刺ワークショップで伝えたいメッセージと同じである。
自分のなすべきことは何か?
自分が求められていることは何か?
自分がワクワクすることは何か?
must×needs×wants=ど真ん中を仕事として生きる。
このはじめの一歩は、血と育ちと教えを振り返り、ご縁を大切にし、今なすべきことに向き合うことから始める。
その生き方だ。
慮る、思いやりの心と、常に身体を整えておく大切さ
比較の世界からの脱却と本物の覚悟とは
失敗を許容する社会とレジリエンス力の必要性
志を抱くこと、実現するために歴史や古典を学ぶ大切さ
お互いが日に新たであることが、幸福と平和と繁栄をもたらす
名優から主役へかけ上がるために大切な「友」や「師」
素直な心で、外側と内側の2つの視点を同時に見つめる
正しさの追求と循環力が未来を生み出す
愛と命と仕事の関係、仕事の尊さを悟る
どちらが物を愛する人によって産み出されたものなのか
あなたにとって成功とは何か、あなの仕事は何か
今ここから始める実践を
人間はあらゆる生きものたちと、共に生きる力
五感の引き出しを増やすことが、信念の力を高める
あなたにとって働くとは、仕事とは、その定義からはじめる
本当の主役とは一体どういうことであるのか。
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